非正社員の増加と結婚難民の増大
- 高下 豊光
- 2021年10月5日
- 読了時間: 3分
日本経済のバブルが崩壊してからというもの、デフレが続き、個人の収入はほとんど伸びていない。

このワーキングプアという言葉をはじめて日本に持ち込んだのは江口英一であった。
高度成長期に入り旧厚生省が1965年に貧困の統計をやめ「1億総中流化」となった状況の中で、東京都中野区の課税台帳を電算集計することにより、1/4程度の住民が生活保護水準以下の生活をしていることが明らかになった。
日本では、1990年代以降のグローバリゼーションの流れに対応して、小泉純一郎・竹中平蔵の雇用環境破壊計画が進められ、日本政府・企業の主導のもと、労働市場の規制緩和・自由化がすすめられた。派遣労働の段階的解禁はその表れだが、その他パートや契約社員も含め非正規雇用の全労働者に占める割合は、90年代後半以降一貫して増え続けている。
これら非正規雇用は企業にとっては社会保障負担の軽減や、雇用の調整弁や単純業務のための安価な労働力としての活用という点で、人件費を大幅に削減することを可能にする。
したがって、労働者から見ると多様な就業形態を可能にするが、雇用の継続は1ヶ月~最長でも1年程度の短期しかない不安定な状態で、キャリアアップの機会に乏しいうえ、雇用保険や社会保険といった社会保障も正社員に比較して不十分であることが少なくなかった。
さらに、ほとんどの企業が賃金の支払い日を(労働基準法第24条第2項の規定により)「月1回払いのみ」としており、なおかつ「締め日~支払日までの日数が長い」ため、
「既往の労働に対する賃金」を速やかに受け取ることができず、所得と貯蓄の低下に拍車をかけている。
賃金を速やかに受け取れないことは、生存権の侵害のみならず、就労意欲を低下させる要因にもなりうる。
他方、1990年代の日本経済は長期停滞にあえぎ、リストラなどで職を失う労働者が続出した上、「就職氷河期」と呼ばれる世代は就職活動において正規雇用として職を得ることが困難となり、非正規の不安定な形で職に就くことが少なくなかった。
日本の雇用慣行では新卒として正社員の職を得られなかった場合、その後に安定した職業に就くチャンスが少ないため、氷河期世代にはその後も長らく非正規雇用として働き続けている者も多い。
こうして、労働市場の流動化と経済の長期停滞といった要因が複合的に絡み合い、ワーキングプアに代表される低賃金労働者が増えていった。
また、2018年4月から「雇い止め」が多発する。雇い止めによって職を失った人たちが労働組合へ相談するというケースが相次いでおり、ワーキングプア以前に仕事を失うといった問題が深刻化している。
推計根拠は総務省の就業構造基本調査。これに基づいて試算すると、ワーキングプアの規模は次のとおりといわれている。
1997年 458万世帯 12.8%
2002年 657万世帯 18.7%
2007年 675万世帯 19.0%
ワーキングプアが大量に発生した要因として、企業の人件費削減の流れが指摘される。
1.安価な労働力確保を目的とした国外への進出。
2.賃金の高い正社員の新規採用の削減。
3.人件費が安価で売上等状況に応じて雇用調整を行いやすい非正規社員を増やしている。
労働者の賃金水準は、低下傾向にあるのだ。しかも固定化さえしている。1999年には労働者の平均年収は461万円であったが、2009年には406万円に減少している。2020年にかけて、さらに下回っている。
2000年には労働者の74.0%が正規雇用であったが、2010年には65.6%にまで減少している。非正規雇用社員の増加は、企業収益に関わらず、コスト削減等の競争力を維持したい企業は、積極的に採用したのだ。
憲法25条「生存権の精神」を適用されない国民が、この日本には存在するのだ。これらの低所得層の日本人を下級国民という。

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