震災後に経営破たんした安愚楽牧場
- 高下 豊光
- 2021年9月24日
- 読了時間: 3分
2011年、震災後に経営破たんした安愚楽牧場
和牛投資の代名詞「安愚楽牧場」は、30年以上にもわたり経営されていた。
事業実態があったので、より詐欺商法と疑われなかった。負債総額は4000億円という巨額詐欺であった。

結果的に投資家に戻った額は200億円程度に過ぎなかったという。
安愚楽牧場は、新規の投資金を配当金に充てるポンジスキームの代表選手であった。
その配当金も円天のような非常識なレベルではなく、極めて常識的な範囲であったため発覚が遅れてしまうのだ。
詐欺事件発覚後も、騙されたとは思わなかった投資家は多かったという。
株式投資で失敗したと思うほかに投資家を慰める言葉はなかった。
それにしても想像を絶する規模の被害額であった。
株式会社安愚楽牧場(あぐらぼくじょう)は、栃木県那須塩原市に本社をおいていた和牛預託商法に関する畜産会社。 2011年11月、裁判所が破産宣告した。
「繁殖母牛に出資すれば毎年生まれる子牛の売却代金で多額のリターンが望める」という触れ込みで、出資者から金を集めるオーナー制度の最大手。栃木県、北海道、宮崎県などで38ヶ所の直営牧場を運営し、黒毛和牛をはじめとする肉牛13万3,386頭(預託農家346戸分を含む)を飼育していた。
商号は明治初期に「胡坐鍋」とよばれた牛鍋をたのしむ庶民のすがたをえがいた仮名垣魯文による小説『安愚楽鍋』からとられている。
1.飼育頭数=13万3386頭(2011年(平成23年)10月15日時点)
2.負債総額=4,330億8,300万円(2011年(平成23年)8月9日民事再生法適用申立時点)
3.黒毛和牛委託オーナー被害者数=7万3,356人
4.同被害総額=4,207億6,700万円
監査法人が破綻後に2002年(平成14年)4月 - 2011年(平成23年)3月の収支(9年分)を調査した結果を発表している(2011年(平成23年)12月30日付け朝日新聞朝刊23面「契約金の9割、解約・配当に」参照)。
「オーナーへの配当(子牛代)」1,505億円だけで本来の畜産事業売上額である「肥育牛出荷など」2,132億円の75%近くに達しており、事業収益からの配当でなかったことは明白である。
結局はオーナーへの支払額合計5,407億円は、オーナーからの契約金収入6,164億円から回されていたことになり、典型的な自転車操業という状態であったことが明らかになった。ポンジスキームであったことは明白である。
安愚楽牧場側では破綻理由を「肉牛価格の下落」などを挙げている。
だが、経営面での杜撰さが調査によって浮き彫りになっているという。
牛の管理も杜撰そのもので、2010年に問題となった口蹄疫への対応では宮崎県から文書で指導を受けるほどであった。
また、財務管理の面でも、多くの投資家から資金を集めながらも、公認会計士による監査を受けていなかったのだ。
そのため、オーナーからの入金をすべて売上に計上し、満期で解約する時には仕入れとするなど、帳簿には正しい情報が記載されていなかった。
出資者から資金を集める投資商品は、集めた資金を第三者が管理していないと、資金の動きが把握できないことが多く、安愚楽牧場も決算では毎年黒字を計上していた。
負債金額は2011年8月の民事再生法適用申立時点で、4,330億8,300万円。牛のオーナーとなった被害者の数は7万3,356人にも上っている。
その後、2011年12月に破産手続きに入り、債権者集会が開かれる。3年後の2014年3月に破産手続きが終結した。
被害対策弁護団では、今後は安愚楽牧場の経営責任者や広告塔を勤めた元経済評論家などに対する、刑事・民事双方の訴訟を続け、また、国に対する損害賠償も提訴したようであった。
濡れ手に粟なんてことは、現実社会には一切ないのだ。
投資したいのなら、とことんまで知識を深めるべきである。少しでもおかしい思えば、それは間違いなくポンジスキームである。

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