米国史上最も悲劇的な生涯
- 高下 豊光
- 2021年12月24日
- 読了時間: 2分
米国初の女性連続殺人犯
---アイリーン・ウォーノスの悲惨すぎる生涯

2003年のアメリカ映画「モンスター」
主演のシャーリーズ・セロンは、13キロ肥って特殊メイクで熱演、アカデミー主演女優賞を獲得する。
映画「モンスター」は、1986年のフロリダを舞台に、
アメリカ史上初の女性連続殺人犯となった「アイリーン・ウォーノス」の実話を映画化した。
1956年にミシガン州で生まれた彼女は、両親の顔を知らなかった。
15歳でウォーノスを生んだ母親は、なんと半年後に家出する。
しかも、その頃父親は精神を病んでいたのか、刑務所で自殺していたという。

彼女の保護を押し付けられた祖父母も"人でなし"であった。祖母はアル中で、祖父は容赦なく彼女を性虐待したのだ。
生い立ち不幸もここまでひどいとは、およそ聞いたことがない。想像の範囲を超えている。
「アイリーン・ウォーノス」は、生きて行くために9歳で身体を売ったという。そしてなんと13歳で妊娠した。
赤ん坊は、すぐさま養子に出された。
彼女は、16歳になると家出同然に故郷を捨てた。
やがて、同性愛の少女セルビーと出会い、二人の生活費を稼ぐために「強盗・殺人」を重ねていくのだ。
「アイリーン・ウォーノス」は生まれ育った環境のせいで、売春婦として生きる以外、方法がなかったかのようだ。
彼女が死刑に処せられるほどの社会的罪人になったのは、劣悪な環境で生きざるを得ない子どもたちの問題を放置している、社会制度のせいだと言うこともできるだろう。
その視点に立って言うなら、彼女は生まれてこのかた一度たりとも、社会から守られることなく、社会によって排斥され、葬られてしまう哀れな存在だ。
「アイリーン・ウォーノス」は、11年間の服役後1902年10月9日に薬物注射で死刑に処された。
彼女は、聖書と一緒に火葬されることを望み、最後の言葉は「私は、キリストと船に乗って旅立ち、再び地上に現れる」であったという。
もし、望み通りに現世に戻ってくることがあれば、もう少しまともな両親のもとで、もう少し豊かな家庭に生まれて欲しい。
映画を観ながら、なんか悲しくなってくる。
見逃した人には激しくおススメ。
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