米国を震撼させたエンロン社の不正
- 高下 豊光
- 2021年10月28日
- 読了時間: 3分
アメリカのエンロン社の不正発覚事件。
1985年にエネルギー会社として発足したエンロン社は、エネルギー業界の規制緩和の中、ブロードバンドビジネスや天候デリバティブ取引も手がける多角的大企業に急成長した。

しかし、2001年10月、同社の簿外債務の隠蔽を始めとする不正が明るみにでて、エンロンの株価は暴落した。結局、01年末に同社は破産宣告を出し倒産した。
さらに、エンロンに続いて様々な企業の不正会計が次々と明るみに出たことで、一企業の倒産にとどまらない大事件に発展する。
2005年製作/110分/アメリカ
原題:Enron: The Smartest guys in the Room
配給:ファントム・フィルム
これを契機に、米国全体のコーポレートガバナンスが問われることになった。02年、企業の不祥事に対する厳しい罰則を盛り込んだサーベンスオックスレー法(通称SOX法)が制定されたのもこの流れによるものである。
2005年に、アメリカ史上最大の企業スキャンダル、エンロン事件を追ったドキュメンタリーが発表された。
全米第7位、世界第16位に急成長した巨大企業がわずか2か月で破綻するまでの経緯を、元社員の証言や内幕を暴く内部資料によって浮き彫りにする。監督は、政治や音楽など多彩なジャンルのドキュメンタリーを手がけてきたアレックス・ギブニー。カリフォルニアのエネルギー危機操作など、モラルのかけらもないエンロン経営陣の強欲さに言葉を失う。
エンロンは、1985年に「ヒューストン・ナチュラルガス」と「インターノース」の合併によって設立された。エンロン社は、CEO「ケネス・レイ」氏が、地方のパイプライン会社に過ぎなかった同社を全米7位の巨大企業に育て上げた。ところが、2001年10月16日の決算発表を転換点に急激に崩壊に向かっていく。決算発表の翌日に「ウォールストリートジャーナル」に不正会計疑惑が大々的に報じられる。
エンロン事件では、SPEによる連結外しが問題となった。日本では、ライブドアの不正会計が問題視されたが、共通点があった。
1.ライブドアは、投資事業組合を使い、一方のエンロンではSPE(特別目的事業体)を使って連結外しを行った。
2.損益計算書に載せることができない自己株式の売却益(評価益)を計上した。
これらの発覚後に、日米とも会計ルールが改正され、これにより連結外しは不可能となっている。ライブドアは、自己株式の売却益を、エンロンは、複雑なデリバティブを使うことによって、実質的な自己株式の評価益を損益計算書に載せたのだ。
これらの会社には、ほかにも共通点があった。どこにも悪知恵の働く不届きものはいるものだ。ライブドアには、宮内亮治がいたし、エンロンには、アンドリュー・ファストウがいた。
これらの知恵者が片腕として社長を補佐していた。興味がある方は、ドキュメンタリー映画を観て欲しい。

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