米ドルや米国債の崩壊を予測?
- 高下 豊光
- 2021年10月12日
- 読了時間: 3分

この事件は、イタリアとスイスの国境の町キアッソ(スイス側)で、巨額のアメリカ国債を持った日本人2人組がスイスに入ろうとしたところでスイス当局に拘束された事件である。
当時はリーマンショック脱却のため、アメリカはQE(量的緩和)を続けていた。
その資金を株式市場に注入して株価の上昇を演出し、また、債券市場やインターバンク市場に投入してドルを買い支え、一方で先物市場では金を売り浴びせるなど、金融市場が安定化・活性化したと見せかけることで好景気を演出していた。
当時は、G8財務相会合でも金融市場が再び活性化しつつあり、世界的な不況の終わりも近いという声明が発っせられていた。だが、所詮は砂上の楼閣でありQE(量的緩和)をやめた途端に崩壊するものだった。
2009年6月3日のことであった。イタリアから国境を越えてスイスに入る国際電車の国境検問がスイス側にあるキアッソの駅で行われていた。
その際に50代と60代の日本人男性2名が、1,345億ドル、これは1ドル100円換算でなんと13兆4,500億円になるという途方もない額の米国債を隠し持っていた。彼らは、キアッソの警察当局とイタリア財務警察に逮捕されたのである。彼らは、スーツケースに隠し持ち、額面5億ドル(1934年発行とのこと)相当の米国債を数百枚持っていたほか、アメリカが発行するその他の債券も相当額持っていたらしい。
その日本人が持っていた米国債が本物だとしたら、その時点でこの2名は中国・日本・ロシアに次いで世界第4位の米国債保有者であった。
その後、イタリア財務警察はアメリカ証券取引委員会に押収した債券の真贋鑑定を依頼した。その結果、日本人が持っていた米国債や債券は偽造されたものであり、イタリアのマフィアが作ったニセモノだと報じられている。
アメリカ財務省も、無記名式の米国債は1億ドル程度しか流通していないこと、そして、1,000億ドル以上の無記名米国債は存在しないことを理由に、本件のアメリカ国債は偽造である旨を発表している。
さらに、この2名の日本人は、神奈川県在住の60代男性と福岡県在住の50代男性であり、イタリアでは偽造国債は使用しなければ罪ではないとのことで釈放されたそうである。
この2名が持っていた米国債が偽造だとすれば換金不可能であり、わざわざ危険を冒してまでスイスに入って売りさばこうとする意味が全くない。
どう考えても、米ドルや米国債の崩壊を予測し、日本政府が保有する米国債を、スイスにあるブラックマーケットで売ろうとした国際的なグループがいたのだ。

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