福山鞆の浦・室町足利幕府
- 高下 豊光
- 2022年2月1日
- 読了時間: 2分
室町幕府最後の将軍足利義昭が、織田信長と対立して、小早川隆景庇護の下、備後の国鞆の浦に下ったのが、天正4(1576)年のことである。

鞆の浦は、足利家にとってゆかりのある土地で、尊氏が新田義貞追討の院宣を光厳上皇より受けた場所でもあった。足利氏にとって縁起の良い場所だったのである。
この古代から栄えた港町で、義昭は1582年まで過ごし津之郷へ。
そんなゆかりの土地を鞆の浦を中心に歩いてみる。
NHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」では俳優の吹越満が演じていた足利義昭(1537-1597)は、兄の13代将軍義輝や母親が暗殺されるまでは、仏門に入っていた。悲しい政変が起こらなければ高僧として生涯を終えるはずであった。だが、世は戦国時代である。彼は、信長の天下統一の野望に利用される。
しかし義昭は信長と仲たがいをして、天正4(1576)年に備後の国(今の福山市周辺)に、伊勢氏・一色氏・細川氏などの幕府の中枢を担った公達を伴って下向し、その地で幕府の役職任命なども行い、幕府としての権威を保ち続けていた。
この備後下向で室町幕府が終了という見方もあるのだが、義昭は天正16(1588)年までは、征夷大将軍職にはあったと記録に残っているのだ。鞆幕府は、立派に機能していたと云える。 鞆の浦は、風光明媚な美しい街だ。古い家々がいまだに残っておりたっぷり時間をかけて歩きたい。
有名な常夜灯界隈には、「いろは丸展示館」などもあり、坂本龍馬が好きな方ならぜひ一度は訪れたい。
バス停鞆港で下車して、「平成いろは丸渡船乗り場」へ行く。そこで観光地図などを入手して、島全体がパワースポットという仙酔島に渡ってしばしの散策がよい。この島にある「国民宿舎 仙酔島」には、宿泊者以外でも利用できるお風呂もある。その渡船乗り場の駐車場から見えるのが、大可島(たいがしま)城跡と圓福寺である。 大可島はその名が示す通り昔は島である。今は陸続きになっているが、島だったころは、麓に元遊女の住居があり潮の干満に寄って渡れることもあったようである。
最近できたホテル汀邸 遠音近音(みわぎてい おちこち)は、その島のそばにあった宿屋を改装して出来たものだ。その前を通り過ぎた辺りに圓福寺へ上る階段がある。
途中猫に会えたり、素敵なカフェがあったりして雰囲気のある階段である。
Comments