福山が誇るデニム生地メーカー
- 高下 豊光
- 2021年12月26日
- 読了時間: 3分
ユニクロジーンズの生地を手掛ける、世界に誇る日本のデニム生地メーカー、カイハラ。

伝統的な手織正藍染絣製造のノウハウを応用して1960年代と古くから高級デニムの生地を製造するパイオニアである。
今や、世界の「プレミアムデニム」には欠くことの出来ない存在です。
カイハラで作られるデニムは、上質なはき心地と味わい深い経年変化を併せ持つ最上のデニム生地だ。
カイハラの本社及び工場があるのは広島県福山市。
江戸時代から絣(かすり)の生産が活発に行われ、日本三大絣の産地として親しまれて来ました。1893年、そんな備後絣の地にカイハラは創業しました。 もともとは正藍染め絣の生産を行っていたカイハラが、アメリカで行われていたロープ染色を自社開発して、日本初のデニム生地を完成させたのが1970年である。
以来カイハラでは紡績から仕上げまで一貫して自社工場で行い、デニム生地メーカーとして世界でもトップクラスのシェアを獲得し続けている。
カイハラの工場内には常時生産量の5ヶ月分もの原綿が保管されています。この中からひと月に生産する糸の3分の1の量が、ユニクロのジーンズへと姿を変えて行く。 カイハラデニムでは、繊細なシャツ生地にも通用する上質な綿花から採れた原綿だけを使用。それらをミックスし、最もデニムに合う配合でブレンドしている。ここまで最上級の綿花にこだわるデニムメーカーは世界有数である。
糸の外側は見事なインディゴブルーなのに対して、芯はしっかりとコットンそのものの白色を維持したままになっている「芯白」糸。実は、この糸で織られたデニム生地のみが、徐々に色落ちが進むデニムならではの美しい経年変化を生む。 この芯白色を生み出す秘密が、カイハラが1970年、日本で最初に開発&導入した「ロープ染色」だ。ロープ状になった原糸を染液に漬け、マングルで絞り、空気中で酸化を繰り返し行い、濃色に変化させていく。そのロープは端から端までは約500m。
機械や設備はすべてカイハラが独自に開発し特許も取得済みである。
カイハラでは1970~80年代初頭に製造された超貴重品の旧式シャトル織機が、現在でも修理、改修されながら稼働している。
「単にシャトル織機を模した織り機で作った赤ミミ付きのデニム生地は、ヴィンテージデニムではない。1970~80年代のシャトル機器で作った物こそが、本物のヴィンテージ」という考えから、オーセンティックなデニム生地には旧式シャトル織機が使用されている。
高速の最新織機は1日に約350m生産出来るが、旧シャトル織機では約120m。オーセンティックなデニム生地を作るときには、生産性を大きく落としてもヴィンテージの風合いを守り続けているのが、デニムの伝統に真摯にこだわり抜くカイハラなのだ。
そんなデニムを使ったユニクロのジーンズには、カイハラの伝統や世界随一の優れた製法、こだわりが込められていた。
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