破産者を生んだFX着物トレーダー
- 高下 豊光
- 2022年1月14日
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2005年から2007年の間に日本人投資家のFX投資は、世界を席巻した。
FX市場に歪みが生じ、日本人投資家にとって有利な状況が生まれていた。

その着物トレーダーを代表していたのが、池辺雪子女史であった。
ではいかなる人物だろうか。
彼女は、東京都在住の主婦である。 若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始める。
これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダーだ。 2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定する。 その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。
2010年9月に執行猶予が満了。 現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。
2005年に始まった為替相場の歪みとは何だろうか。
1.円安局面が長期的に進行した。2005年から2007年夏ごろまで続いた。
2.他国の高金利による通貨スワップが好条件であった。
3.為替取引のレバレッジ規制がなく、いくらでもポジションを建てることができた。
4.長期間の円安が続きトレーダーたちは持っているだけで良かった。
5.2005年初頭に1ドル102円だったものが、2007年6月には1ドル124円までに円安となっていた。
池辺女史が成功した理由は誰にでも分かることだ。
為替が円安である程度固定されている局面にFX市場に参入したこと。
日本の金利が突出して安かったこと。反対に外貨の金利が高く設定されていたこと。
言い換えれば、レバレッジを掛けて貯金していたようなものである。
一般には円のキャリートレードと称されていた。
彼女たちは、数兆円単位で円を売り、高金利の通貨を買いまくっていた。
欧米の金融機関が、「ミセスワタナベ」あるいは「キモノ・トレーダー」と呼んだ日本人投資家の正体である。
彼女たちは、自分たちの行っている為替取引のことを理解していたのだろうか。おそらく、理解していなかったと思う。
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