現実は、それほど苦痛か

若い男との不倫そして横領

---退屈な日常からの逃走

2014年製作／日本 配給：松竹

原作：角田光代

監督：吉田大八

主演：宮沢りえ

銀行勤めの平凡な主婦が引き起こした大金横領事件のてん末。

まっとうな人生を歩んでいた主婦が若い男性との出会いをきっかけに運命を狂わせ、矛盾と葛藤を抱えながら犯罪に手を染めていく。

舞台は、バブルがはじけて間もない1994年である。

銀行の契約社員として働く平凡な主婦・梅澤梨花（宮沢りえ）は綿密な仕事への取り組みや周囲への気配りが好意的に評価され、

上司や顧客から信頼されるようになる。

一方、自分に関心のない夫との関係にむなしさを抱く中、年下の大学生・光太と出会い不倫関係に陥っていく。

彼と逢瀬を重ねていくうちに金銭感覚がまひしてしまった梨花は、顧客の預金を使い始めてしまう。。

年下の恋人に貢ぐために、何一つ不自由のない生活を送っていた女性が起こした巨額横領事件。

ニュースなどで見かければ、世間の下世話な興味を惹きそうなこの題材を吉田大八監督が映画化した。

宮沢りえ演じる主人公の梨花は、毎日の生活のなかで溜まっていった空虚さを、お金を人に施すことで埋めていくのだ。

少女の頃から“受けるよりは与える方が幸いである”と教えられてきた梨花は、池松壮亮演じる恋人・光太の学費を払うために、横領を始めるのだった。

一線を越えた主人公は、悪気もないままにあっという間に流されていくが、その悲壮感のない、むしろ凛とした雰囲気は、宮沢りえだからこそ出せたものだと思う。

誰でも、何ら変化のない日常生活には、飽きてしまうものだ。だが、それこそが幸せなのだ。美人女優を射止めた芸人の渡部建、覚えているだろうか。

バカのふり見て我がふり治せ。

それが分からないから人は不倫をするのだろう。いくら美人妻がいても--

見逃した人には激しくおススメ。

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