消滅する名門企業カネボウ
- 高下 豊光
- 2021年11月23日
- 読了時間: 3分
小説「巨額粉飾」は、カネボウがモデルになった小説だ。

「カネボウ」は、近代化が進む明治時代に創業され、紡績をもとに、様々な多角事業を展開している。
同社は、わが国を代表する名門企業であった。
社名は、創業場所が、東京府南葛飾郡隅田村の通称「鐘ヶ淵」(現在の東武伊勢崎線・鐘ヶ淵駅付近)というところから、「鐘淵紡績」に由来している。
その名門企業が、長年にわたる累積損を抱えていたのだ。さまざまなテクニックを駆使して、会計上は利益を出ているように見せかけていたという。
その累損があまりに増えて債務超過となり、2004年には産業再生機構の支援を受け入れることになる。
カネボウは上場廃止となり、花王などに事業のバラ売りが行わる。
そして2007年には会社解散という最悪の事態を迎える。
世界の投資家ウォーレン・バフェットの投資会社バークシャー・ハサウェイは、もともとはアメリカの地方にあった紡績会社であった。
バフェットは、事業価値よりも、かなり低い株価で市場に放置されていた「バークシャー・ハサウェイ」を買収する。そして、同社の繊維事業の立て直しを図ろうとしたのである。
だが、なかなか思ったようにいかず、けっきょく同社の繊維事業を閉鎖した。
そうやって、溜まっていた内部資金で投資会社に鞍替えしたという。
彼は、数少ない投資失敗を忘れないために、あえて「バークシャー・ハサウェイ」という社名を残しているのだ。
カネボウをモデルにした小説では、粉飾の手法を、芸術と評している。
見通しのつかない事業は売却/閉鎖処分をしてしまうという選択肢もあったのだが、紡績で創業した企業だけに、その紡績への思い入れが強く、なかなか切り捨てられなかった。
この小説「巨額粉飾」の作者・嶋田 賢三郎氏は、カネボウの役員で、同社の経理財務を担当していた。
この粉飾事件で主犯と疑われ、一時逮捕される。だが、実は、粉飾に反対を行なっていた人物で、結果的に無罪となっている。
「巨額粉飾」の本で、そのテクニックをいくつか知ることができる、それを見ておく。 1.黒字会社と赤字会社の合併による損解消
2.損を子会社に移転させ、その会社の連結対象外し
3.商社・販社を使った商品の帳簿上の利益操作
当時のカネボウは、多角化経営を進め、繊維・化粧品・トイレタリー・食品・薬品・住宅など様々な事業を行なっていた。そして好調な事業がある一方で、不調な事業もあり、気付いた時に莫大な不良資産を抱えていた。
会計を預かる経理担当者には、当時の経営者から、「利益が出るようにせよ」と圧力がかけられる。
経理担当者は、会計上可能なテクニックを様々駆使し、それを監査法人に認めさせて、帳簿上は利益があるようにしていたのだ。
彼は、2004年にカネボウを辞してから、2008年に、カネボウの顛末をベースに、この「巨額粉飾」を発表した。
小説「巨額粉飾」は、カネボウがモデルになった小説である。
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