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東大の高利貸し山崎晃嗣「光クラブ」

  • 執筆者の写真: 高下 豊光
    高下 豊光
  • 2021年9月8日
  • 読了時間: 4分

光クラブとは、1948年に東大生だった山崎晃嗣と日本医大生が中心となって設立された会社の事である。事業としては貸金業を営んでいたという。


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ほかにもメンバーとして同じく東大・中大生等が在籍しており、当時の状況を考えると、全員非常にレベルの高いエリート層であった可能性が高い。

この資金を集めるという点において、山崎晃嗣と光クラブのメンバー達は、天才的なセンスを持っており、非常にユニークな広告で多くの資金を集めた。


彼らは、学業の秀才以外に、マーケティングの天才であった。

以下にそのコピー例を披露する。

『年中無休!天下の光クラブ、弊社は精密な科学的経済機関で日本唯一の金融株式会社』

『遊金利殖、月一割保証』

このような刺激的な文言はもちろんのこと、エキゾチックな顔をした女性を全面に出した欧米チックな広告を街なかに登場させる事で、現在の紙幣価値に換算すると数億円規模の資金を集める事に成功したのである。

大衆が飛びつくのも無理はなかった。

斬新なマーケティング・東大ブランドをフル活用した資金調達によって、非常に潤沢な資金があった光クラブは、商店・中小企業を中心に貸金を行った。

資金調達では月13%の配当を約束し、利子は月20%~30%というかなりの高金利で資金を貸出している。

現在では漫画でしか見れないレベルの闇金もびっくりだが、当時の混乱していた戦後日本では、このような金利でも世間に受け入れられたようである。

このような高金利で貸し付けていたら、もちろん会社はどんどん成長していくだろう。

半年後には、出資者が数百人を超え、光クラブで働いている人は30人を超える会社に成長する。

山崎晃嗣は、女性関係も非常に派手で、私生活は荒れている事が知られていた。

そんななか、荒れていた女性関係の1人に税務署のスパイが侵入してきた。

そして、光クラブの内情を当局に知られてしまったのだ。

背景としては、当局としても、完全に違法行為とは言い切れないもので、表立って山崎晃嗣を逮捕・光クラブを追い込む事が正攻法では出来なかった。

そこで、山崎晃嗣の私生活に目をつけ、内側から光クラブの実態を探ろうとした訳である。

結局の所、山崎晃嗣は「物価統制令」という聞き慣れない名前の法律で逮捕されるのだ。

物価統制令とは、戦後の荒れている日本において、急激なインフレを防ぐために導入された法律の事である。

山崎晃嗣はこの法律に抵触しているとして、逮捕されてしまった。

彼は、そもそも東京大学法学部に入学した秀才である。

逮捕されたものの自身の知識・論法を用いて、結局の所不起訴となるのだ。

当局は、彼を逮捕して収監を狙ったというよりも、グレーな高利貸しで営業していた光クラブを、山崎晃嗣を逮捕する事によって妨害したかったというのが、主な思惑であったと見られている。

当局の目的が、山崎晃嗣の有罪ではなく、光クラブへの妨害だったとしたら、大きな成功を収めている。

光クラブが原資としていたのは、元々はあり得ないような配当を約束しており、斬新なマーケティングと東大ブランドをフル活用して集めただけの資金であった。

山崎晃嗣というトップが逮捕された光クラブ事件の影響で、光クラブの信用はガタ落ちする。

当局の狙い通り、出資者は次々と資金を引き上げていくのだ。

山崎晃嗣は、このような難局に対応するために新たな資金調達を模索し、様々な策を講じるのだ。

同じく東大生で、資金調達を手伝ってくれた友人から、「法的に解決したいなら、君は消えろ」と言われる事態になた。やがて、「光クラブ」の存続は絶望的な状態となっていく。

その後は、ドラマチックな失敗街道を歩むことになり、株(空売り)にまで手を出す事になる。

彼は、株の空売りを行う事によって、3000万円を超えていた債務をどうにかしようと考えた。

巨額過ぎる債務に絶望した彼は、青酸カリによってこの世を去った。

山崎晃嗣が最後に光クラブ事件からの再起を掛けておこなった株の空売り

これが、奇しくも山崎晃嗣が命を絶った数日後に暴落したのだ。

神様も粋な計らいをするものである。やれやれ。

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