日本社会の雇用を崩落させた張本人
- 高下 豊光
- 2021年9月21日
- 読了時間: 3分
パリのブラッスリー。
20年前に妻と別れたアレックスは、海辺に遊園地を作るという夢をかなえるため、ギャルソンとして日夜懸命に働いていた。

この夢のような遊園地建設を軸に、ブラッスリーの鬼シェフや離婚話を抱える同僚など仕事場での人間関係や、過去の女性たちとの関係を描いた作品。
この「ギャルソン」と云う作品は、1983年公開の映画だが、日本の新しい労働を示してくれている。
彼は、給仕・ギャルソンとしてパリのカフェで働いている。
その収入は、時間給ではない。固定給の社員でもない。ギャルソンというのは、お客からのチップで生計を立てる業績給なのだ。
1983/フランス映画
監督:クロード・ソーテ
主演:イヴ・モンタン
フランスの話だと思って自分には無関係だと断定するのは間違っている。
日本では、このような形態の働き方が実現しないという保証はない。
なぜなら、パソナの会長に就任した竹中平蔵氏が働き方改革を推し進めようとしているからだ。
私は、日本社会の雇用を崩落させた張本人は、パソナを創業した南部靖之氏と竹中平蔵先生だと思う。
彼らは、小泉政権時代に政府に擦り寄り、人材派遣業を飛躍的に拡大させた。
その結果何が起きたか。若い世代には、正社員の道が閉ざされてしまい、非正規雇用にしがみつく残念なことになった。彼らの年収は多い人で200万円である。彼らはクルマが買えず、結婚からも縁遠い。
いきおい晩婚化、未婚化がすすみ、少子化を劇的に招く結果となっているのだ。
竹中平蔵先生は、本作品を新しい労働の仕組みであり、非正規雇用者にとっては、全人格を磨くチャンスに恵まれると称賛している。これは、詭弁であると私は断じる。
もとより私は、日本社会にはギャルソンというのはそぐわないと考えている。
チップ文化は日本にはないものだ。まして日本社会には欧米の個人主義は馴染まない。
電通・パソナ・霞が関を悪の旧三密という。新しい三密は、小泉純一郎・竹中平蔵・南部靖之だ。
彼らが伝統的な日本固有の終身雇用文化を破壊したのである。
パソナ創業者の南部靖之氏は、私と同じ関西大学の卒業だ。個人的な面識はないが、私はまだ小さい人材派遣会社だった「日本テンポラリーセンター」と名乗っていた頃から注目していた。
ところが彼は、いつしか政府側の人になってしまった。
竹中平蔵先生は和歌山出身である。私が親しくしていた関西大学経済学部の先輩が和歌山出身だった。
私の下宿に遊びに来た先輩は、マルクス資本論を噛み砕いて教えてくれた。いまでは懐かしい思い出だ。
非正規雇用者は、いまや4割を超えている。収入格差が恐ろしく進行している。
貧しかったけれどみんなが夢を抱くことが許されていた昭和が懐かしい。
今の日本には、周囲に便利なものが溢れかえっている。だが、無いものが一つだけある。
それは、希望だ。--作家 村上龍。

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