日本はシェアエコノミーで後れを取る?
- 高下 豊光
- 2021年9月20日
- 読了時間: 3分
2020年10月30日の日本経済新聞の朝刊で、中国のライドシェア最大手の滴滴出行(ディディ・チューシン)が、日本のタクシー会社と組んで日本に進出すると報じられた。
滴滴出行は、タクシーと個人の自家用車の両方を配車できるアプリで、数年前から中国で普及している。

中国に進出したウーバーも太刀打ちできず、結局ウーバーは中国事業部を滴滴に譲渡し、撤退したという。
シェアエコノミーは世界中でバズワードになっている。
中国を席捲しているシェア自転車の2大企業、摩拝単車(モバイク)とofoはいずれも日本進出を発表した。
米国のコワーキングスペース大手、WeWorkもソフトバンクと組んで、来年東京に進出する。実はコワーキングスペースは中国企業も急成長しており、その一社である裸心社(naked Hub)はシンガポール同業と合併し、同じく日本を含めたアジア展開を計画しているそうだ。
他には、シェアエコノミーの先駆け的な存在、民泊のAirbnb(エアビーアンドビー)、中国民泊企業「途家網」も日本で利用できる物件を大きく増やしているのだ。
日本のメディアは今、海外、主には米中のシェアサービスが国内参入を発表するたび、「日本上陸」と大きく報道している。
シェア自転車という言葉は新しいが、観光地のレンタサイクルは、中国に限らず以前から存在した。ofoやモバイクは、スマホのアプリを使うことで、好きな場所での乗り降りや人を介さない決済を実現し、さらにはベンチャーキャピタルからの巨額の資金を得て、大量の自転車を短期間で生産、投入することで、信じられないほどの成長を実現している。
ライドシェアの滴滴出行も、スマホとともに普及した。中国は日本と違い、タクシー運転手が客よりも強い。タクシー運賃が安く、東北部は地下鉄が発達していなかったので、朝や夕方はタクシーの奪い合いすら起きる。
その結果、乗車拒否や運賃のふっかけが横行し、メーター付きのタクシーでも、メーター通りに走ってくれないことがままある。滴滴出行のアプリはGPS機能で確実にタクシーを確保し、必要に応じて運賃も事前交渉できる。相互評価体制があるため、横暴な運転手や客も避けられる。
中国でなぜ、ここまでシェアサービスが広がるのか。最大の要因は、「スマホ」とそこから生まれた「国民的SNS」「モバイル決済」の存在だろう。
モバイルSNSの「微信(WeChat)」。その機能はLINEに似ているが、普及のレベルが全く違う。
中国人は即時返信を望むからか、以前からEmailの存在感が薄く、人々は電話やショートメッセージ、パソコン時代のメッセージツールQQで用件のほとんどを済ませてきた。そして微信が登場すると、スマホ利用者のほとんどがこのアプリの利用を始め、微信がないと生活できないほどのコミュニケーションツールに成長した。
微信はその後、どんどん機能を増やし、ユーザー同士の金のやり取り、店舗での決済、チケットの予約、そしてフードデリバリーや配車サービスとも連携するようになった。
微信で決済するためには、銀行口座情報の登録が必要になる。警戒心の高い日本人は、この手の個人情報を全て紐づけてしまうことに抵抗感を感じがちだが、中国人は利便性を優先する。
こうして、中国人はスマホ一台で、サービスの予約から利用、支払いまでできる体制を築き上げていく。スマホの普及とあいまって、社会的要因がシェアリングエコノミーを不可欠なものにしているのである。

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