新技術、水素ロータリーエンジン
- 高下 豊光
- 2021年9月22日
- 読了時間: 3分
自動車メーカーの「マツダ」といえば世界に先駆けてロータリーエンジンの実用化に成功したことで知られる。

この新機軸エンジンは、燃費が従来のレシプロエンジンより悪い事が指摘され、急速に市場から締め出されてしまう。
だが自動車のエネルギーとして水素=H2を利用しようという動きが活発化しているのだ。
再生可能エルギーで水を電気分解してH2を得る「e-fuel」や、同様に再生可能エネルギーを使ってCH4(メタン)燃料を生成する「e-gas」などがすでに実証実験の段階に入っている。
こうして得たクリーンなH2燃料を使って通常の内燃機関エンジン搭載車を走らせる。あるいは水素を使って発電するFCEV(燃料電池電気自動車)に使う。
このなかで内燃機関へのH2利用は、現在の技術を持ってしても難物である。最大の理由はH2の「燃えやすさ」にある。H2の最小点火エネルギー、最小限これだけのエネルギーがあれば周囲のO2(酸素)と反応して燃焼を始めるというエネルギー量は0.02J(ジュール)だ。ガソリンは0.24J。
「着火しやすさ」はガソリンの12倍である。すぐ「カッとなって燃える」のがH2である。だからエンジンとしての扱いが難しい。
ピストンの上下運動を回転運動に変えるレシプロエンジンの場合、吸気、圧縮、燃焼は同じシリンダー内で行なわれる。前行程での「燃えかす」を排気行程で追い出し、カラになったシリンダーに吸気行程で新しい空気を入れ、燃料と空気をあらかじめ混ぜておくか、あるいは圧縮行程で混ぜるか、いずれかの方法で混合気を作る。
しかし、燃焼しやすいH2は、前行程の排気を追い出した直後のシリンダー内に入れた途端、筒内の「熱を帯びた場所」に触れて自然に燃焼してしまう。これを異常燃焼=バックファイアと呼ぶ。
REは吸気ポートから取り入れた空気がローターの回転に合わせて移動する。吸気/圧縮/燃焼のそれぞれの行程は、べつの部屋で行なわれる。そのため、H2と空気を混ぜて圧縮していった先でも、バックファイアが起きるような「熱い場所」がない。レシプロエンジンの場合は排気バルブ周辺がホットスポットであり、ここで水素が自着火してしまう。しかし、REはホットススポットができない。 このREの仕組みは、ガソリンを燃料に用いる場合は欠点だった。圧縮することで吸い込んだ空気を温めたいのだが、部屋が移動するため壁面がつぎつぎと新しく出現し、なかなか暖まらない。しかしH2を燃料とする場合は、これは長所となるのだ。 マツダがRX-8水素用REの試作に着手したのは、すでに15年前のことになる。内燃機関についての新たな知見と、REに利用できるデバイスの自由度は、当時と現在とでは比較にならないほど研究が進んでいる。 再生可能エネルギーでH2を精製し、それを自動車で使う。FCEVの場合は99.99%という高純度H2が求められるが、内燃機関で使うなら純度70〜80%で充分という点も、利用研究が加速している背景にある。

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