平均日本人による理不尽の不満
- 高下 豊光
- 2021年12月13日
- 読了時間: 2分
--彼女はなぜバッシングされたのか

『バッシング』 は、小林政広監督2005年の作品。
主演は占部房子。
2004年に発生したイラク日本人人質事件がモチーフになっている。
作品は、第58回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映された。
中東で武装グループに拉致・監禁された有子は、無事に解放されたものの、彼女を待ち受けていたのは社会からの「バッシング」だった。
そのすさまじい誹謗中傷により彼女は仕事を失い、父親は自ら命を絶つのだ。
北海道のとある海辺の町で暮らす高井有子(占部房子)は、突然、アルバイト先のホテルをクビにされた。
有子は中東の戦時国でボランティア活動をしている最中、武装グループに拉致・監禁されて、人質となった。
無事に解放されて帰国したものの、自己責任を問われ、世間から激しいバッシングを受けていた。
ホテルの支配人・井出(香川照之)いわく、そんな有子の存在が職場の雰囲気を悪くしているという。
その頃、有子の父・孝司(田中隆三)もまた、30年間勤めた工場から退職を強いられた。
有子の行動を非難するメールや電話が工場にまで寄せられ、業務に支障をきたしているというのだ。
辞表を提出した孝司は家に籠もり、昼間から酒を煽るようになった。
そしてある日、マンションのベランダから飛び降り自殺した。
葬儀後、それまで有子を見守っていたはずの継母・典子は、ついに抑えていた感情を有子にぶつけた。
帰国してから会話の途絶えていた有子と典子だったが、その夜、初めて互いの心情を吐露する。
有子は泣きながら、再び中東へ戻ることを典子に告げる。
有子は、戦火の中で生きる子供たちへの駄菓子をスーツケースに詰め込むと、家を出た。
それは、有子の日本との決別であった。
読者の皆さんは、イラク人質事件をご記憶だろうか。
確か小泉政権下の出来事であった。この時、盛んに「自己責任」ということが云われた。
外国で人質になろうが、殺されようが、それは個人の問題であって国が関与することではない、という世論が巻き起こったのだ。
そして、人質になった不運な人たちを、まるで犯罪者のように非難していた。
彼らをバッシングした平均的日本人は、ルーツが韓半島にある在日の人たちを毛嫌いする日本人と何ら変わらない。
編集長の私も同じ穴のムジナだが、こんな日本人はまことに醜いと思う。
見逃した人には激しくおススメ。。
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