巨大詐欺・大和都市管財事件の憂鬱
- 高下 豊光

- 2021年9月9日
- 読了時間: 4分
融資先の不動産の抵当権を証券化して分割販売する抵当証券を1985年から発行。
被害は50歳以上(当時)を中心に1万7千人、総額1112億円にのぼった。詐欺罪に問われた元社長(70)は2007年9月、懲役12年の実刑が最高裁で確定している。

同社は融資先の不動産の抵当権を証券化して分割販売する抵当証券を1985年から発行。東京、大阪、名古屋などの購入者約1万7千人から1112億円を集めたが、2001年に経営破綻した。元社長(71)ら19人が詐欺容疑で大阪府警に逮捕され、元社長は懲役12年の実刑が2006年に確定した。
そして、購入者のうち721人が計約39億9千万円の国家賠償を求めて提訴する。
一審判決は、大規模な個人財産の被害について国の賠償責任を認めた初の司法判断となった。
ところで、大和都市管財事件で問題となった金融商品は抵当証券だが、これは債権流動化商品であり、サブプライム問題における住宅ローン債権と似たものだと思われる。
大和都市管財は、財務基盤が低下しているにもかかわらず、一部担保価値の下がった抵当証券やその他の金融商品を売りつけて投資家に損害を蒙らせたとして社長が詐欺罪に問われ、さらに、監督官庁の権限不行使が違法とされた。
サブプライム問題では同種の金融商品を売りつけた金融機関、監督官庁の責任はどうなるのか。 アメリカなどの金融機関は、サブプライムローン債権あるいはさらにそれを複雑にした債権などリスクの高い(当初はリスクを分散するものだという触れ込みのようであったが)商品を売りまくり、自らは巨額の利益、報酬を得ていた。彼らはリスク商品を正しく説明することなく世界にばらまいていた。
売りつけた先に損をさせ、倒産や経営危機に追い込み、金融システムを危機に陥らせたのだ。大和都市管財事件とある意味似たような構図であり、いずれのケースも、リスクの高い金融商品を十分な説明をせず投資家に売りつけ損害を蒙らせ、自らは巨利を得ていたたわけである。
大和都市管財の経営者は詐欺罪に問われる一方で、アメリカの金融機関の経営者は公的資金の投入により国民全体に損害を蒙らせながら、今のところそれ自体で刑事責任を問われてはいない。大和都市管財の事件では、購入者が損害を蒙るということを認識しながら販売を続けたということが詐欺とされた。
だが、サブプライムローンを売りまくった金融機関も同じような認識・認識可能性はあったと思われる。ところが、詐欺罪などの刑事責任の追及は、個人犯罪を念頭においており、こと細かな立証が求められ、こういうスケールの大きい事案では立証することははなはだ困難である。
「他人の犠牲の上に巨額な利益を得る行為」であり、「一つ一つを見れば合法だが、全体としては違法」な行為であるといえると思う、と述べた。現行刑法の詐欺罪では立件することはまず無理なのだが、実態は、正当な理由なく経済的価値が移転させられている、というもので詐欺と同視しうると思う。しかし、これが放置されているのだ。
今回の事態でアメリカの金融機関の経営者、社員に見られるところの、リスクの高い商品を売りまくって高額の報酬を得、破たんすると国が公的資金を投入して救済し、自分は転職する、ということがまかりとおるのであれば、モラルハザードは決してなくならず、同じことが繰り返される危険はかなり高い。
「無責任なことをして他人に損害を蒙らせ自分は巨利を得る」という悪魔の行為は、なくさなければならない。
大和都市管財事件とサブプライムローン問題をみるにつけ、個人の犯罪の責任追及に比して、法制度が整備されていない組織的な犯罪的行為と言えるような不法行為の責任追及について、刑事責任をそれほどの困難を伴わない程度の立証活動で追及できるような制度の創設が必要と感じる。
将来の年金不安、低金利の不満、手持ちのお金を少しでも増やしたい、そこで投資金詐欺にやられてしまう。
金融リテラシーを自ら高め、金融武装し、投資は自分の力でやってみる。安易に金融案件に手を出すべきではないと思う。

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