少子化、ゼロ金利、地方銀行の憂鬱
- 高下 豊光
- 2021年9月15日
- 読了時間: 3分
銀行をめぐる環境は、人口減少による資金需要の減少に加え、国債依存度が高い資金運用がマイナス金利によって大きな影響を受けるなど、特に地方銀行で厳しさを増している。

全国各地で、地銀の経営統合の動きが表面化しているが、長崎県では、独禁法の企業結合審査が長期化している。
そうした中、優良地銀と言われていたスルガ銀行の「シェアハウス関連融資」において、書類改ざんなどの不正を認識しつつ巨額の融資が行われていた問題が表面化するなど、地銀をめぐる状況は一層深刻さを増している。
一方で、金融業務に関しては、AI化に加え、フィンテック、ブロックチェーンなどの新たなIT技術の発展によって、今後、業務環境が急激に変化することが予想されており、銀行は、不確実な近未来に向け、「急激な環境変化への適応」が求められることになる。
銀行業界の誰もが理解しているが誰も言い出せない深刻な事態が迫っている。
まだ記憶に新しいが、1980年代初頭、無軌道な銀行による過剰な融資が、不動産や証券の価格の暴騰を招き、高騰した価格での担保評価による融資が、さらなる過剰な融資となって、バブルを膨張させたのであった。その結果、膨大な額の融資が回収不能となる「出血」を生じさせ、多くの銀行が危機的な経営状況に陥った。
また大手都市銀行の総会屋利益供与事件では、暴力団関係者への巨額融資が刑事事件として摘発されて大きな社会的批判を浴びた。そして、バブル経済の崩壊により、経済全体が一気に「虚血状態」となった90年代、不良債権を抱えた銀行の「貸し渋り」「貸しはがし」によって、日本の経済社会を「手足」として支えてきた多くの中小企業が「血流の途絶」による「壊死(えし)」に追い込まれた。
その後、国の政策としての公的資金の注入などで、銀行の不良債権も解決の方向に向かったが、その間に、金融機関の統合が進み、都市銀行は、三大メガバンクに集約され、地方銀行、相互銀行等の地域金融機関も整理統合が進められた。
今後の日本経済においては、人口減少による資金需要の減少、都市への集中による地方経済の衰退等が一層進むのに加えて、AI化、IT化等によって、銀行業務や、従業員の労働の内容も大きく変わり、銀行をめぐる環境変化は一層激しくなることが予想される。
地方銀行は、抜本的な統廃合が避けられないと思う。かつて銀行は、女性には最高の就職先であった。
やがてお嫁に行く女性にとっては、経歴として箔をつけるためにも不可欠な就職先といえたのである。
ところが、今や銀行に必要な業務はITに奪われようとしている。無理をして融資に活路を見出そうとすると、スルガ銀行のような「かぼちゃの馬車」事件と同じ轍を踏むことになりかねない。

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