寂しい、名門レナウンの永眠
- 高下 豊光
- 2021年11月22日
- 読了時間: 3分
名門レナウンの凋落を振り返ってみたい。
端的にいえば、企業が変化しないことのリスクはあまりにも大きいものであった。

なぜ名門レナウンは、変化できなかったのだろか。
同社のビジネスモデルは、なんと30年くらいも変わっていないのだ。現在の主力ブランドは「ダーバン(D’URBAN)」「アクアスキュータム(AQUASCUTUM)」「シンプルライフ( SIMPLE LIFE)」「エレメント オブ シンプルライフ(ELEMENT OF SIMPLE LIFE)」「インターメッツォ(INTERMEZZO)」「エンスウィート(ENSUITE)」「アーノルドパーマー タイムレス(ARNOLD PALMER TIMELESS)」などである。
百貨店や量販店向けのブランドが大半であり、顔ぶれは1990年代とほとんど同じなのだ。関係者は、あのユニクロに何も学ぼうとはしなかった。
何一つ改善しようとはしなかった。たえず上から目線で、消費者の動向には何ら関心を払わなかった。だがそれは、甘えと云うものである。
平成の時代、ファッション業界では2つの大きな潮流があった。一つはSPA(製造小売り)の台頭である。
製造から販売までを一気通貫管理することで、中間コストをカットし、価格競争力を高める。店頭の客の反応を商品企画に素早く反映させる。2000年以降のショッピングセンター(SC)の開業ラッシュにのって、SPAは業界の主流になった。もう一つはECの浸透。こちらは説明不要だ。ZOZO TOWNNの躍進である。
ところが、レナウンはどちらの潮流にも乗れなかった。SC向けの「アーノルドパーマー タイムレス」に全体をけん引するほどの力強さはない。売上高に占めるECの割合は3%しかない。かつて、一世を風靡したブランドは顧客が高齢化しており、ECを利用する人たちが欲しいと思う商品がないのだ。
若い世代を狙ったブランドを育てようと試みてもうまくいかず、この10数年は既存事業を守るだけになっていた。
結果として昭和のビジネスモデルが温存されてしまい、過去の遺産を食いつぶすといった哀れな様を演じることになった。レナウンは、かつてグループ売上高3000億円の日本最大のアパレル企業だった。
1960年代には“レナウン・ワンサカ娘”のテレビCMで話題になり、70年代以降もアラン・ドロン(Alain Delon)や高倉健を広告塔に起用してブランドイメージを高めていた。また、米人気ゴルファーを起用した「アーノルドパーマー」では、傘のマークによってワンポイントマークの一大ブームを作ったのだ。
1990年代には、レナウンのほころびが露見する。のちに多額の負債の要因になる英ブランド「アクアスキュータム」を約200億円で買収したのだ。5月に米国本社が経営破綻した「J.クルー(J.CREW)」を日本に持って来たのもレナウンだった。
進取の気性に富んでいたレナウンの社風は、長い低迷によって現状維持に傾くのだ。
いまレナウンの社内で良い時代を経験しているのは50代以上の社員だけ。それ以外の大半の社員は悪い時代しか知らない。過去の成功体験にこだわりすぎた結果である。
レナウンと同様に老舗アパレルとして知られるオンワードホールディングス、ワールド、TSIホールディングスなどは、痛みを伴うリストラを断行しながら、デジタル時代に向けた自己変革に取り組んでいる。
それらに比べると、レナウンはあまりに旧態依然として、ビジョンを描く力に欠けていた。大国病から逃れることができなかった。さようならレナウン。
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