埼玉県「ベビーシッター事件」を抉る
- 高下 豊光
- 2021年12月23日
- 読了時間: 2分
埼玉県富士見市で起きた「ベビーシッター事件」を覚えていますか。
この事件は、一人のシングルマザーが社会の底辺に追いやられている現実を如実に現した。

認定事業者に子供を一晩預けると3.4万円かかる。男児の母親はバイトで生計を立てているシングルマザーである。
そのために認可されていない安価なベビーシッターに委託するしか手がなかった。
保育事業を管轄するのは厚生労働省である。待機児童ゼロ作戦は、2001年、小泉政権時代に始まっている。何年経っても、事態はますます悪くなっている。
なぜだろうか。管轄する厚生労働省が、保育事業への参入障壁をわざと険しいものにしている。
この事業だけは、市場原理が働かない。まるで社会主義下の経済である。そのためにシングルマザーの行き場がないのだ。
「ベビーシッター事件」を報じた新聞各紙は、事件の問題点をぼかしている。逮捕された26歳の経営者がクローズアップされているが、問題は逮捕者ではないことは当然である。厚生労働省の保育事業に事件の要因が隠れている。なぜこの業界では市場原理が働かないのか。待機児童は潜在的児童を含めると全国に85万人いるとされる。
それでも民間から参入する事業者はいない。認可が取得できないのだ。厚生労働省が容易に認可しない。既得権益を守っているのである。業界団体や組合は、「子供の安全」を御旗に、あらゆる改革に強硬に反対している。
待機児童をゼロにするためには、事業者への補助金の投入をやめて、保育事業を市場原理に任せる必要がある。社会主義的経済の施策をやめることである。旺盛な潜在的な需要は、あらゆるベンチャー事業者を惹きつけるだろう。
非効率な経営をするような事業者は締め出されるはずだ。そうなれば、今回のシングルマザーのような経済力では間に合わない。保育料は現行よりも高い市場価格になるだろう。
ではどうするべきか。ここで行政の出番だ。
保育バウチャーを配布して、シングルマザーや貧困家庭の救済措置を取ることである。
今の政策では市場が歪んでしまっているのだ。シングルマザーを犠牲にしてまで既得権にしがみつく、輩を許してはいけないと思う。
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