国策企業エルピーダメモリの憂鬱
- 高下 豊光
- 2021年9月13日
- 読了時間: 2分
エルピーダは日本の一流半導体メーカーのメモリ部門を統合させて鳴り物入りで発足させた「日の丸半導体メーカー」である。

もし時の政権が自民党であったなら違った展開になったであろうと思われる。エルピーダに関しては、所轄官庁の関与度合い、当時の民主党政権の関与度合い、救済候補者であったマイクロン社の動きなどについての読みを誤ったといえる。
なぜ、エルピーダメモリは倒産したのだろうか。300億円の税金を投入して一時的に倒産を回避したものの、多額の負債を抱えたまま首が回らず、必要とする大規模な設備投資はできないままであった。
当時の民主党政権がもたもたする間に、半導体メーカーを取り巻く環境には地殻変動が起きようとしていた。それが、スマホの登場である。パソコンからスマートフォンへと半導体需要が大きく変わろうとしていた。
エルピーダの場合、商品そのものに競争力がないわけではなかった。負債が大きかったことで価格競争力を発揮できていなかったため、仮に法的な倒産となっても、再生プロセスで一定レベルまで債務を削減すれば再生は十分可能であると見られていた。
およそ国がスポンサーになって良い事は何一つとしてない。これは第三セクターの失敗など、枚挙に暇がないものである。
2011年には、スマホの出荷台数は、約5億台となり史上初めてパソコンを上回った。
この状況下でエルピーダメモリは、パソコン向けにターゲットを置いていた。
では、韓国のサムスン電子はどうしていたか。
サムスン電子は、累計1兆円の巨額投資で半導体の生産ラインをスマホ向けに切り替えていたという。
「日の丸半導体メーカー」に、どうしてできなかったのだろうか。
その秘密は、国そのものにあった。韓国に比べて圧倒的に高い法人税、貿易自由化の遅れ、厳しすぎる各種規制など、経営陣が力を発揮するには舞台が悪すぎたのだ。
エルピーダメモリの失敗は、親方日の丸が失敗の原因であったと思う。
生産ラインの革新一つをとっても「経産省」の顔色を窺わなければ得ず、あらゆる経営判断には手かせ足かせがはめられたのだ。
私は、スポンサーとして「京セラ」の稲盛和夫氏に登場願っていれば、事態の推移は異なったものになったと考える。やれやれ。

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