世界的な潮流は金塊から仮想通貨へ
- 高下 豊光
- 2021年11月22日
- 読了時間: 4分
今後、デジタル仮想通貨は、定着していく。

ビットコインは、重い金と違って、地球上どこでも移動が容易だ。
なおかつ、銀行のような送金チャージを払わなくてもよい。
2017年12月10日、シカゴ・オプション取引所においてビットコイン先物が上場されている。
これは、米国政府がビットコインの存在を公に承認したということに他ならない。
今やビットコインは、ゴールドと同様の扱いを受けるようになった。もうインチキかどうかを議論する局面ではなくなったのだ。さらなる動きがあった。12月17日にシカゴ・マーカンタイル取引所にも上場を果たす。
この取引所は、通称CMEと略称で呼ばれているが、知っているように世界最大の商品先物取引所および金融先物取引所である。
ビットコインに関しては、肯定派と否定派で大きく分かれるが、現在の状況がバブルであり、投機の対象になっていることは誰の目にも明らかだ。
かつては、1ビットコイン(以下BTC)は最大限10万ドル(1100万円)になる可能性がある、と予想した人がいたが、現在ではその予想が50万ドルに膨れ上がっている。まさに、バブルであることは間違いない。
とはいえ、それでも肯定派の中には財政破綻に直面した政府が採る最後の手段と言われる「預金封鎖」や「支払猶予(モラトリアム)」「通貨切り替え」に対抗できる新たなツールとして注目する人もいる。
仮想通貨の中核的な技術である「ブロックチェーン」は、未来の金融や中央銀行というシステムそのものさえも変えてしまう魅力がある、という指摘もある。
ちなみにブロックチェーンとは、インターネット以来の発明とも言われ、複数のコンピュータで情報を共有し、相互に監視しながら外部からの侵入などを防ぐ高いセキュリティ機能を確保している。システム導入コストも飛躍的に安いために、中小企業や自治体などが簡単に導入できるという特徴を持っている。
たとえばブロックチェーンを使えば、自分独自の仮想通貨を創出することも可能だ。中小銀行などと自治体や企業グループなどが提携して、その地域特有の仮想通貨を発行することも可能になる。
ビットコインは単なるバブルなのか、はたまた新しい時代の資産防衛ツールなのか。ビットコインなど仮想通貨の魅力が語られるときに、しばしば登場するのが政府に管理されない資産の保有、といった概念だ。
言うまでもなく、私たち国民は納税の義務を負っている。日本に限らず、世界のどの地域や国であれ、何らかの形で得た利益は日本の居住者として日本の税務当局に申告しなければならない。しかるべき税金はきちんと納めなければならないし、2014年の確定申告からは毎年12月31日の時点で5000万円を超える国外財産を保有する場合は、その資産の概要を申告する義務まで負わされている。
納税者の義務といえばやむをえないのだが、政府=権力者というのは、こうした納税の義務に加えて、いざとなれば国民の財産を根こそぎ収奪する権利と手段も持ち合わせている。
その方法は「預金封鎖」であり「通貨切り替え」という方法だ。日本でも、太平洋戦争の終結直後の1946年2月、膨らんだ戦費を賄うために莫大な財政赤字を負った政府は、それまでの通貨を切り上げて、通貨の価値を転換させることで国の財政を正常な状態に戻してしまった。預金封鎖が行われて、旧円から新円への切り替えが行われたのだ。
国民が持つ銀行の預金を封鎖して、封鎖している間に1円未満の単位を廃止し、それまで流通していた紙幣や硬貨を廃止して新円に切り替えてしまうことで、年に500%というインフレを収束させたわけだ。
こうした国家による強権的な手法は、戦争などによって財政赤字が膨れ上がった国によってしばしば行われる手法だが、国民にとっては最も避けたい悲劇的な結末と言っていい。日本の預金封鎖は70年も前のことになるが、世界的に見ると割としばしば行われるイベントだ。
2013年3月16日に実施されたキプロスの預金封鎖はわずか5年前のことだ。キプロスは、欧州の実質的なタックスヘイブンのひとつだが、ロシアの富豪などを中心にキプロスに資産を預ける投資家が多かった。そんなキプロスが、2013年3月16日にギリシャ危機のあおりを食って預金封鎖や預金に対して課税する預金税を実施している。
その際に富豪たちが行った資金の逃避先がビットコインだったために、ビットコインは一気に価格が急騰して1BTC=11万円ほどに高騰した。
もう我々資産のない庶民でも一通りの知識だけでも貯めておきたい。
それが投資詐欺にやられないための防衛策である。
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