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マッサンこと竹鶴政孝の熱い情熱に学ぶ

  • 執筆者の写真: 高下 豊光
    高下 豊光
  • 2021年9月23日
  • 読了時間: 3分

明治27年(1894年)、広島。 「竹鶴酒造」の三男として、政孝は生まれている。

兄弟は全部で四男五女の大所帯である。そこで竹鶴は、厳格な職人である父・竹鶴敬次郎からものづくりの情熱や真髄を学んでいく。

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広島の水質は、酒造りには向いていない軟水であった。だが、敬次郎はその欠点を克服し、見事な酒作りを成功させた努力の人だ。息子・政孝の代にもその努力は、継承された。

竹鶴政孝は、若い頃から学業優秀で、大阪高等工業学校(後の旧制大阪工業大学・現在の大阪大学工学部)を卒業。

ウィスキー工場を学び、そして運転させる基礎知識を身に着け、さらには「摂津酒造」の中でも、腕のいい若手技士として注目を集めていたという。

その摂津酒造は、壽屋(現サントリー)の依頼で赤玉ワインを作っていた。製造工程の中で殺菌が不十分だと、ボトルは発酵して破裂してしまう。しかし、竹鶴政孝が担当したボトルは決してそうならず、周囲から「腕がいい」と感心されていたそうである。

マッサンは、こうした地道な作業をこなす能力に加えて、好奇心旺盛かつ気の強い性格、並外れた情熱家であった。

さらには彼には、幸運も味方した。徴兵検査を受けたものの、アルコール製造ができる技師であることから徴兵を免れている。

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そして1918年(大正7年)。 神戸港で大勢の人に見送られながら、竹鶴はスコットランドへ向かうのである。途中、海難事故にも遭遇したが、無事にスコットランドに到着する。運の良さは、特筆に値する。

マッサン竹鶴はグラスゴー大学に籍を置いた。しかし、そこでウイスキー作りを学ぶことはできなかった。

大学には、専門講座がなかったのだ。だが、実地で学べなければ意味がない。 造り酒屋で生まれ育った竹鶴は、実地体験こそが生きた知識になることを誰よりも痛感していた。

そこでネトルトンに頼みこんでみたものの、授業料があまりに高額すぎて断念せざるを得なかった。次に、片っ端から蒸留所へ手紙を送り続け、各工場を訪ね歩くのである。努力と情熱の人の面目躍如だ。


そして、ホワイトホース社のヘーゼルバーン蒸留所で、見習いとして働くことができるようになる。

1920年(大正9年)のことである。

「よく来ましたね。グラスゴー大学から話は聞いています。あなたの鼻は立派だから、ウイスキー作りに向いてますよ」

と、工場長は握手のために手を差しだした。

マッサンは、白衣のポケットにノートとペンを持ち歩き、熱心に働いたという。

例えば蒸留器の清掃作業は誰からも嫌われるものだが、洗いながら構造を覚えるため、進んで作業に取り組むのだ。 そんな姿を見て、周囲も段々と彼の情熱を認めるようになる。

「You,日本でスコッチを作る気だと聞いたのだが」 「そうです。私は、なんとしても日本でウイスキーを作りたい」 「そうか、それはすごい。なら、おれのやり方よく見てろ。蒸留器はこう動かすんだ」

こうして、3ヶ月間の見習い期間、竹鶴は常にノートを取っている。

スコットランド修行を奨めた上司の岩井喜一郎に報告するためである。これこそ、「竹鶴実習ノート」と呼ばれている。

この一冊が、日本のウイスキー誕生に欠かせない、いわばバイブルとなっている。

そして、最愛の妻「リタ」に出会うのもこの頃であった。

1896年、スコットランド南西部の都市・グラスゴーの医師カウン家で、ジェシー・ロベルタ、通称リタは誕生した。

彼女は64歳で若くして他界するのだが、彼女は周囲の反対を押し切って日本にやってくる。マッサンのもう一つの快挙がその国際結婚であった。

希望をなくしている非正規社員の若者たち、いまこそ「青年よ、大志を抱け!」である。

マッサンに負けることなく大海に漕ぎ出そう。非正規雇用からでも社長になれる。

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