バブル経済が生み落とした変額保険
- 高下 豊光
- 2022年1月25日
- 読了時間: 2分
変額保険という悪夢

変額保険は、日本では1986年10月に発売が開始された保険で、払い込んだ保険料よりも多く返ってくる、保険をかけたはずなのに儲かる可能性があるという不思議な保険である。
もちろん、リターンとリスクは表裏一体なので、儲かる可能性があるという事はその分定額保険よりも損をする可能性もある。
世界では1956年にオランダで発売されたのが初めてで、経済が成長していく中で銀行・証券などが相次いで成長に伴い資産も増える金融商品を開発し、それまでの「貯蓄機能と言えば生命保険」という常識が覆り、銀行・証券会社に個人の資金が流入していく。
生命保険会社は銀行や証券会社に顧客を奪われていくのを止めるため、経済成長と連動して顧客が恩恵を受けられる保険商品「変額保険」を開発・販売するに至るのだ。
その歴史・問題点を掘り起こしてみる。
そもそも、この変額保険は、バブル経済期に、銀行と生命保険会社が組んで、相続税対策として不動産を担保に借金をさせ、それを保険料に充てて加入させた。
その甘い筋書きは、株価や土地が際限なく上がっていくという前提のもとに設計されていた。
ところがバブル崩壊によって、株も土地も暴落する。加入者のほとんどは、ローンの返済に窮し自宅を取り上げられ、自殺者が相次いだ。
こうして、この変額保険は、社会問題として発展していったのである。
背景にあるのは、高すぎる相続税にあった。当時、金融機関にばかり世間の非難が集中した。だが、相続税は70%に及んでいる。
バブルが持続すれば、変額保険はベリーナイスな保険であった。
高すぎる相続税は、懲罰的ともいえる。普通、3代相続すれば、何も残らないと云われているのだ。
破産者や自殺者を多く生み落とした変額保険。背景には高すぎる相続税。
やれやれ、どこへ行く日本。
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