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ノーベル賞候補の死刑執行

  • 執筆者の写真: 高下 豊光
    高下 豊光
  • 2021年12月15日
  • 読了時間: 3分

広瀬健一死刑囚の刑執行。

彼は、早稲田大学院時代に国際学会に発表した論文、『高温超伝導の二次元』が

当時の世界トップサイエンスであると評価されたこともある文字通りの天才だ。


また、日本版アインシュタインになったかもしれない頭脳の持ち主だった。

彼だけは、世間で呼ばれたオウムの「理系秀才」とは異なっている。



彼の収監中の手記を読むと、その頭の良さがうかがわれる。天才と評価されるのも当然だ。

早大理工学部応用物理学科」を首席で卒業。

卒業後の進路も決まっていた。

それがなぜ麻原彰晃のペテンに堕ち込んでいったのだろうか。

彼は「空中浮揚」は、なんと嘘だと見抜いていた。

編集長の私は、これは浮揚ではない、写真のトリックだ、落下ではないかと睨んでいた。

事実そうだったのだが、広瀬健一は常人とは違う感想を抱いたらしい。

彼は、空海や最澄が封印した密教の教義「バジラヤーナ」を理解したようだった。

また、クンダリーニ・ヨガも彼なりに解釈し、理解していたようだ。

教祖・麻原彰晃は、現世人を殺戮し、代わりに新生人類を育成しなければ、地球規模の救済はできない、という恐るべき思想を生み出していた。


「上九一色村のオウム施設にて生き残った"正しい人たち"だけで新しい、無垢な、神世界を立ち上げるのだ」

このような与太話に「理系秀才」たちは、まったく現実が見えなくなっていた。

教祖の殺害指示に対しても疑問を持つ信者はいなかったという。

何故なのか、広瀬健一は、獄中で書いた手記のなかで言及している。

彼は、オウム真理教に大変興味を持ち、空中浮揚があり得ないことを承知しながら、

家族の反対を押し切って出家してしまった。麻原は、彼の頭脳が欲しく、かなり強引に出家させたらしい。


おそらく、薬物投与や監禁などの非常手段を講じたのだろう。気の毒な洗脳犠牲者とも云えるのだ。

私は、敗戦前の日本軍の特攻隊を考えてみた。

若い特攻隊員は「天皇陛下万歳!」と叫んで体当たりして自爆したということだ。

これは洗脳ではないのだろうか。

私は、オウム真理教の死刑に処された幹部たちも、この特攻兵士と似ていると思う。

広瀬健一は、逮捕されても洗脳がなかなか解けなかったそうだ。

またサリン事件については、

『現代人は悪業を積んでいて苦界に転生するので、命を絶つことで悪業を消滅させ、高い世界に転生させる』とのオウムの教えを信じて事件を起こしていたため、命を奪うことを救済と考えており、当初は悪いことだという認識もなかったようだ。

やっぱり、彼も「理系秀才」だったのだ。

彼には、哲学や文学の素養に欠如していたと、私は考えている。

新宗教よりも、もっと現実的なニーチェや太宰治に傾倒していれば、オウムに絡めとられることはおろか、死刑に処されることなどなかったに違いない。惜しい人物ではあった。

 
 
 

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