ジャック・マーは狂気の人に見えた
- 高下 豊光
- 2021年11月18日
- 読了時間: 3分
利用者が信頼しなければ成り立たないネットのマーケットプレイス、これをうまく構築するのは大変な挑戦である。

アリババの創業者ジャック・マーが非凡なのは、それを中国で成し遂げたという点にあると思う。
中国は伝統的に「コネ」に基づく社会である。およそビジネスが成功するかどうかを「人脈」が決定するのだ。
信頼が存在するのは、家族や友人や同じ村の人といった親密な人間関係の中だけである。中国の一般社会にあっては、期待できない。
中国のビジネスでは、付き合いのはじめにたっぷりと社交に時間をかけて相手をよく知ることが重要となる。「欧米人は家族や友人を心で信頼し、ビジネスでは相手を頭で信頼する」と云われる。
中国の人たちは、最初に長い時間をかけて自分が信頼に値する人間だと証明した人だけを信頼する。それこそ、ジャック・マーが乗り越えなければならない圧倒的な壁が存在したのだ。
彼は、ネットの力を借りて、その因習を打ち破ろうとしたのである。
「信頼は努力して得るものだ。信頼できれば、すべてがシンプルになる。信頼できなければ、物事は複雑になる」とジャック・マーは後に述べている。では、コネに基づく中国のような社会で、まったくの他人が信頼し合うにはどうしたらいいのであろうか。
ジャック・マーは、テクノロジーによって世界中の何億という人たちが信頼の「壁」を飛び越えられることを示すいい事例を示してくれた。彼は、中国で困難な作業に邁進する。周囲には狂気の人に見えたことだろう。
この信頼の飛躍によって新しい可能性が生み出され、それが障壁を打ち破り、新しい関係を築く助けになってくれたのである。
アリババの例にもあるように、テクノロジーは新しい市場を開き、これまで想像もできなかった新しいつながりや協力を可能にしてくれたのだ。信頼の飛躍によってわたしたちは恐れという溝を飛び越え、未知のものとのすき間を埋めてくれるのだ。
信頼は確実なものと不確実なもののすき間を埋める、驚くべき力となる。信頼があればこそ人はリスクを取り、弱みをさらすことができるのだ。それは、結果がはっきりとわかる前に、または相手がどう振る舞うかわからなくても、誰かに頼ったり頼られたりできるということです。宅配寿司を注文するといった些細なことから、結婚といった人生の一大事にまであらゆることに当てはまるといえる。
アップル、アマゾン、ネットフリックスといった会社は、常に思い込みを疑い、賢くリスクを取り、未踏の領域に社員を飛び込ませ、新しいアイデアを発見している。その一方で、彼らはユーザーに新しいプロダクトを信頼させ、新しいものを試すことへのリスクをあっという間に薄めているのだ。
わが国でこういった産業が芽吹かなかったのは、過去の成功体験が邪魔をしたからではないかと思う。

アーリーバードのホームページへどうぞ。優位性のあるEAを無料で紹介します。
そのダブルスチール投資法は、こちらからどうぞ。earlybird65.jimdo.com
Comments