アメリカンクライムの衝撃
- 高下 豊光
- 2021年12月22日
- 読了時間: 2分
事実は映画より数百倍も陰惨!
---「アメリカンクライム」の衝撃

2007年 アメリカ映画
監督:トミー・オヘイヴァー
主演:エレン・ペイジ
作品は、事件を忠実に再現した力作である。
36歳にして子沢山なガートルード・ヴァニシェフスキー。
彼女は年の離れた彼氏のアンディーとの間に子どもを授かる。
ところがアンディーは彼女にお金を求めるだけであった。
そんな生活ギリギリのシングルマザーであるガートルードは、週20ドルで日曜礼拝の時に知り合ったライケンス夫妻の娘、シルヴィアとジェニーの面倒を引き受けるのだ。
アイロンがけの内職をしながら上の娘、ポーラのアルバイト代で食い繋ぐのが精いっぱいのヴァニシェフスキー家。
ライケンス夫妻は移動遊園地の仕事をしていた。彼らもまた経済的に厳しい状況にあったので、仕方なく子ども達をガートルードに預けることにしたのだ。

しかし、これこそが後に最悪の悲劇を迎える事になるのである。
ガートルードは初めのうちは実子含め、シルヴィアとジェニーを家族の一員として迎えようと試みた。
2人を子ども達と同じ学校に通わせ、ヴァニシェフスキー家の子供たちともシルヴィアとジェニーは本当の姉妹のようにすっかり仲良しになった。しかし、ライケンス夫妻からの小切手が途切れ、事態は一変する--
この先はもう正視できない。地獄の入り口である。
この映画はシルヴィアが自分の身に起きたことをナレーション形式で裁判となった現代と過去を往復しながら物語が進められる。
初めは気の毒に思っていた子ども達も徐々に虐待へと加担させられる。
華奢で小柄なシルヴィアを押さえて地下室に連れてゆき、そこで繰り返される暴力。
ポーラは母親似で意地が悪い子だ。それでも、最初のうちはシルヴィア達と仲良くしていた。
シルヴィアは地下室に軟禁され、ガートルードの子供たちによる暴力の対象になってしまう。
そんな過酷な環境の中シルヴィアの妹、ジェニーは脚に障害があり姉を助けることが出来なかった。
しかも、近隣住民たちはシルヴィアの身に起きたことを知っていながら「見て見ぬふり」をしていたという。
北九州監禁殺人事件は、家族同士で殺し合うといった陰惨な光景が繰り返されたが、この「インディアナ少女虐待死事件」
も仲良しだった家族や友人は、マインドコントロールにからめとられ虐待に手を貸すのだ。
この映画を観て、自分の生活を振り返ってみよう。
どれだけ安楽な毎日を送っているのか、恥ずかしくなってくる。
見逃した人には激しくおススメ。。
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