さようなら永遠の「豊田亨」
- 高下 豊光
- 2021年12月17日
- 読了時間: 2分
カルト教団・オウム真理教。
1995年3月20日記憶に新しい「地下鉄サリン事件」発生。

編集長の私は、都内で営業していた。
ちょうどこの日は、午後一番に法務省へ見積書を持参する予定だった。
ただ、発生時間は通勤時間帯(午前8時頃)だったので、難を逃れていた。
法務省への訪問は、その日は仕方なく断念した。そばまで行くと、大変な騒ぎになっていた。
夕方のニュースでは、地下鉄車内に散布されたのは、猛毒サリンだと報じられていた。
この事件での死者は13人、負傷者は6300人であった。
当初、捜査は難航するかに見えたが、実行犯で医師の「林郁夫」が出頭した。
そして、関係者は一斉に逮捕されるのだ。

彼は、「自首」を認められ、捜査協力を条件に「死刑を回避」されていたそうだ。
サリン事件から10年後だった。東大助教授「伊東乾」氏が友人"豊田亨"に問いかけた著作が発表された。
その著は「開高健ノンフィクション賞」を受賞した。集英社刊行「さよなら、サイレント・ネイビー」だ。
死刑囚がすべて死刑執行されたことで、連日この事件が報道された。
そして、「豊田亨」の名前が報じられた。
前代未聞の「東大大学院生」の死刑執行だったのだ。

著者の「伊東乾」氏は、豊田亨とは友人である。
本書は、渾身の力作と呼ぶべきものである。これがはたして「宗教」だったのか。
作者は戦前の軍部を引き合いに出し「マインド・コントロール」の恐怖を暗闇から引きずり出した。
戦争末期の特攻作戦と現在のテロ事件(例えば9.11同時多発テロ)を対比させて、人はかくも容易に
怖ろしい事件を犯すのかを解明しようと試みるのだ。
収監中の豊田亨は「人格者」だったらしい。
刑務官はすべて同じ意見を述べている。いわく『あのような人がなぜ?』
その問いかけは、東大准教授「伊東乾」氏も同様の疑問を抱くのだ。
准教授は、友人はオウムの薬物によって洗脳されたのだろうと論考している。
編集長は、彼らは「新・連合赤軍」と表現すべきだと考えている。
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