「池袋ホテトル嬢男性客刺殺」の憂鬱
- 高下 豊光
- 2021年9月23日
- 読了時間: 2分
1987年4月15日にその刺殺事件が発生した。
この事件は、日本で起きた最初のセックス・ワーカーの人格をめぐる問題が提起されるきっかけとなった象徴的な出来事であった。

ホテトル嬢が、池袋のホテルで、客である男性を刺殺したというものである。
男は部屋にやってきたホテトル嬢を殴りつけ、刃渡り8センチのナイフで彼女の手を刺し、それを顔に近づけて「静かにしないと殺すぞ」と脅す。
そして備え付けの浴衣の帯や持参のガムテープで縛り、1時間20分にわたって屈辱的な行為を強要し、さらにそれを8ミリで撮影した。
男が視線をそらしたすきに、彼女はナイフを手にし、男を刺したのだ。乱闘の末、男は多数ヶ所の刺し傷を負って死亡した。弁護団は一審、二審とも正当防衛で無罪を主張したが、過剰防衛と認定されている。
一審では懲役3年の実刑判決、二審では懲役2年、3年間の執行猶予付きの判決であった。
この事件での検察官は、こう主張している。「被告人はそもそも売春行為を業としており、被告人にとっての抵抗感というのは……通常の女性が見知らぬ男から同様の行為を受けた場合とは質的にまったく異なるものである」
つまり、ナイフで切られ縛りあげられ、身の危険を感じるような暴行を受けたとき も、貞淑な婦女とそうでない女では感じる恐怖心も違うだろうというわけである。
また、一審の判決では、「いわゆるホテトル嬢として見知らぬ男性の待つホテルの一室に単身で赴く以上、あえて被害者の求めに応じてホテルに赴いたという意味では、いわば自ら招いた危機と言えなくもなく……」と述べられている。
この事件は殺人事件であるが、職業が問われ、貞操が問われ、落ち度が問われる強姦事件と根は同じである。そして売春をしていたことが、彼女にいったい何の落ち度があるというのか。
私が、裁判官なら彼女を「無罪」にしたと思う。
それだけ、殺された男性客は常識を逸脱していた。ホテトル嬢は、1時間に渡って性的な虐待を受け、身の危険に曝され、精神的にも追い詰められていた。その客を殺す十分な理由があった。
彼女は、やむを得ない事情があって、その「売春」という誉められない職業に従事していた。
そのことが国民の前で暴かれるいわれはないと思う。この国は、何かが狂っている。

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