「外国人研修・技能実習制度」の欺瞞
- 高下 豊光
- 2021年9月18日
- 読了時間: 3分
中国人の実習生が突然、社長や従業員8人を殺傷した。
14日(2013年3月)午後4時半ころ、江田島町のカキ養殖加工会社「川口水産」で刃物を持った男が暴れていると110番通報があった。警察官が駆けつけると数人が血まみれで倒れていて、現場にいた男を殺人と殺人未遂で逮捕した。

男は「外国人研修・技能実習制度」で日本に来ている中国人・陳双喜容疑者(30)で、「殺そうと思ってやった」と供述している。常軌を逸した凶行の動機はなんなのか。
国の家族と離れて暮らす中で、孤立を深め、精神的に追い詰められていった可能性もあるとみて調べる。
容疑は、3月14日午後4時半ごろ、川口水産加工場で、川口さんの胸を刃物で刺して殺害した疑い。県警によると、陳容疑者は「殺すつもりだった」と容疑を認めている。
殺されたのは「川口水産」の社長・川口信行さん(55)と従業員・橋下政子さん(68)で、負傷した6人も従業員だった。陳は刃物やスコップを持ってカキの殻をむく作業場に押しかけ川口さんを刺し殺し、作業場の前で橋下さんを殴り殺した。陳はこの日は出勤日だったが、「体調が悪い」と出社しなかった。
調べに対して、陳は「(川口さんの)人使いが荒く言葉が悪い。殺そうと思ってやった」と供述している。陳は昨年9月(2012年)、「「外国人研修・技能実習制度」の実習生として中国から来日、川口水産で牡蠣の殻をむく「打ち子」として働いていた。
「カキ打ち」はカキのシーズンの秋から春までの作業で、生カキを扱うため寒い冬の作業場でも暖房を入れることはできず、厳しい作業だ。若者たちは重労働を嫌い、過疎や高齢化も加わって、最近はもっぱら外国人頼みだという。
陳を知る中国人の実習生は「ときどき、陳がひとりで寮で泣いていました」と話す。いったい何があったのか。背景には名ばかりになっている「外国人研修・技能実習制度」がありそうだ。
小松靖アナ「この制度は途上国に日本の高い技術を広めようということで始まったもので、期間は3年、労働関係法なども適用され、残業手当なども支払われます。4分の3が中国からです」
コメンテーターの飯田泰之(駒澤大准教授)がこんな解説をした。「制度の名称と実態に大きな違いがあるんです。制度の名前から日本に行って仕事を覚えられる、覚えたいと思ってやって来るのですが、実際に配属されるのは単純労働なんです。しかも、技能を教えてやるのだからということで、賃金は最低水準なんですね。出稼ぎできた方がはるかに収入はいいんですね。騙された、給料は安い、仕事はきついということで、技能実習できた方の中には日本に恨みを抱いて帰国する人が少なくないんです」
カキ打ちの仕事は歩合制で、1キロ百円前後。早朝から働いても稼げる人で1日約1万円という。陳はこの作業が苦手で、よく先輩から叱られていたという。
作家の 吉永みち子は、「この会社がそうだったとは言いませんが、途上国を支援するはずの制度が人を安く使える制度として悪用されているなら、制度を急いで見直す必要がありますよ」と問題視している。
外国人技能実習生を現地の送り出し機関と日本での雇い主が搾取し、その送出機関に日本側の監理団体(受け入れ機関)が「たかる」構造が出来上がってしまっている。
その結果が、国連や米国から度々『人権侵害の制度』と非難される実態を固定化させ、日本を好きでやって来た実習生が日本を大嫌いになって泣く泣く帰国するか、または日本国内に不法滞在して「日本人憎し」の感情を溜め込む犯罪者になるしかない悲劇を生んでいる。
いまや、日本の若者世代には、外国人研修・技能実習制度の外国人と変わらぬ、年収200万円以下の非正規雇用者が1,000万人いるのだ。やれやれ。どこへ行く日本。

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