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「かぼちゃの馬車」ひき逃げ事件

  • 執筆者の写真: 高下 豊光
    高下 豊光
  • 2021年11月28日
  • 読了時間: 5分

最近では、不動産投資がやりにくくなった原因の一つに「かぼちゃの馬車」事件がある。

不動産投資では、被害に遭うのは投資家だ。だが、融資環境が厳しくなったことは、ある意味良いことかもしれない。


これから不動産投資を行う人は、「かぼちゃの馬車」事件を一つの教訓として知っておくべきだと思う。


それでは、「かぼちゃの馬車」をおさらいしておく。かぼちゃの馬車は、何が問題だったのか。またかぼちゃの馬車事件のような目に遭わないためには、どうすればいいのか。

株式会社スマートデイズは、不動産投資家に「かぼちゃの馬車」の建築の話を持ち掛け、その後、建てられたシェアハウスをサブリースするという事業を行っていた。サブリースとは、物件を管理会社がオーナーから一括で借上げ、管理会社が各入居者へ転貸するという形式の管理方式である。

この株式会社スマートデイズが行っていたサブリースは家賃保証型サブリースと呼ばれているものであり、空室が発生しても賃料が減らないタイプのサブリースである。よくハウスメーカーが土地オーナーに対して「アパートを建てませんか?」という土地活用提案がある。ハウスメーカーが行っている土地活用提案でも、竣工後は、ハウスメーカーの子会社が家賃保証型サブリースを行っていることが多い。株式会社スマートデイズが行っていた事業も、アパートをシェアハウスに変更しただけなので、基本的にはハウスメーカーの土地活用提案とやっていることは同じになる。


問題は、「サブリース」とか「シェアハウス」ということではない。「かぼちゃの馬車事件」には、もっと別の部分に原因があった。「かぼちゃの馬車事件」は構造が複雑なので、事件の真相をしっかりと理解することが重要である。

直接の原因としては、管理会社であるスマートデイズから家賃の振込がなくなったことが理由である。

シェアハウスのオーナーは、家賃収入の中から建物の建築費用のローンを返済していくのだ。だから契約不履行では、融資を受けた銀行に返済できなくなってしまう。かぼちゃの馬車は、スマートデイズがサブリース「転貸借」しているので、シェアハウスに入居者が入っていたとしても、スマートデイズから賃料の振込がなければ建物オーナーの収入はゼロとなる。収入がゼロになれば、建物ローンの返済原資がなくなり、追い詰められたオーナーたちは、やむなく自己破産する。それが、起きてしまったのだ。

なぜこのような詐欺のようなことになってしまったかというと、その原因はスマートデイズの異常なビジネスモデルにあった。

スマートデイズは、かぼちゃの馬車のサブリースは、そもそも赤字事業であったと言われているのだ。詐欺のような、ではなく詐欺であった。

では、どこで利益を出すのかと云えば、それは建物の請負工事会社からのキックバックなのだ。

スマートデイズは、土地オーナーからシェアハウスの建築の約束を取り付け、それを請負工事会社に紹介する。その際、スマートデイズは顧客の紹介料として請負工事会社からキックバックをもらっていた。例えば、本来、1億円で建てられる建物を、請負工事会社から土地オーナーに2億円の見積を出して、2億円で建てさせる。請負工事会社は、受け取った2億円のうち、1億円を紹介料としてスマートデイズに渡すのだ。これをキックバックと呼ぶ。

つまり、紹介料と称して手渡すお金は、本来、地主のお金なのである。

キックバック自体は良くあることで、違法ではない。問題なのが、そのキックバックの率である。通常、請負工事業者に工事を紹介すると、キックバックは工事費の3%程度がもらえることが多い。しかしながら、スマートデイズは50%という法外に高い率のキックバックを受け取っていたという。

そのため、建物オーナーは通常の2倍の価格で建物を建てていたことになり、借入金も非常に多く、ちょっとでも歯車が狂うと自己破産に追い詰められるといった危険な状況となっていた。実際、キックバックで50%ももらえたら、かなり美味しいビジネスだ。

請負工事会社は、請負工事金額の中から材料費や人件費を払って残りを利益として計上する。スマートデイズはキックバックでかなり甘い汁を吸ったことから、止められなかったのだろう。

サブリースは赤字覚悟で土地オーナーに強引な提案を行い、無理矢理シェアハウスを建てさせ、キックバックで儲けていたということになる。本来、スマートデイズが地道にサブリースで儲けていれば、このような詐欺のようなことにはならなかったはずだが、どこかで歯車が狂ってしまったのだ。「かぼちゃの馬車事件」の真相は、スマートデイズの異常なビジネスモデルにあったのだ。

では、「かぼちゃの馬車」の何が問題だったのか。建物オーナーは貸主で、スマートデイズのような管理会社は借主という関係である。サブリースが賃貸借契約である以上、貸主と借主の関係は借地借家法で規定された関係となる。借地借家法では、借主からの賃料減額請求が認められている。よって、借主であるスマートデイズはいつでも建物オーナーに対し家賃減額の要求をすることができたのである。

すると、家賃保証といっても、空室が増えればスマートデイズは家賃減額要求ができたため、スマートデイズには大きな事業リスクはなかったはずなのだ。

実際、アパートなどのサブリース会社は、空室が発生したら家賃を下げるため、ほぼノーリスクで事業を継続できる。スマートデイズも、シェアハウスの入居率が下がったときに、その都度、オーナーに対してこまめに家賃減額交渉をしておけば、サブリース事業で赤字になることはなかったのだ。だが、それ以上に建築のキックバックが美味しい利益をもたらしたため、赤字でも高い家賃支払い実績を作って、他の土地オーナーに実績をちらつかせることで、次々に新築のシェアハウスを建てる営業をしていたのだと思われる。

結局のところ、管理棟数が増えたことでサブリースの赤字も膨らみ、スマートデイズは破産することになった。家賃減額が認められているサブリース会社は、本来、リスクが低い事業をしているはずだが、スマートデイズは利益を獲得する方向性が間違ってしまったため、最終的に企業破産したといえる。

ごく1部の個人資産(土地)が腐るほどの富豪なら、銀行から融資を受けることなどないだろう。シェアハウスなど、何棟でも建設できる。自己破産を選んだ人は、ほかに担保がなかったのだ。銀行に追加で差し出す土地があれば、人生がおしまいになることも無かったと思われる。

 
 
 

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