5億円の闇献金を受領、風に舞う札束
- 高下 豊光
- 2021年9月22日
- 読了時間: 3分
自民党・経世会(竹下派)の金丸信会長が、東京佐川急便から5億円の闇献金を受領した汚職事件。金丸は、1992年10月に事件が原因で衆議院議員辞職に追い込まれた。

事件の背景には「皇民党事件」があった。「皇民党事件」は、次期首相の最有力候補であった竹下登が、指定暴力団稲川会系の右翼団体日本皇民党から“ほめ殺し”攻撃を受けていた事件。
“ほめ殺し”とは、右翼団体が行う街頭宣伝活動で、攻撃対象である人物を、皮肉を込めて徹底的に誉め称えるなど、嫌がらせの街宣活動を行い、圧力を加えることを指す。
恩義のある田中角栄を裏切って経世会をつくったとされる竹下登は、日本皇民党から執拗なほめ殺し攻撃を受けていた。竹下登はほめ殺し攻撃に対処するため、腹心であった金丸信に相談。金丸信は東京佐川急便の渡辺広康社長(当時)に、暴力団稲川会会長・石井隆匡との仲介を依頼。「竹下が田中邸を訪れ謝罪すること」を条件に事件は沈静化した。
その後、東京佐川急便は、石井と関係のある会社に対して、総額約4395億円の融資や債務保証を行うことになる。
1992年2月、東京地検特捜部は、渡辺社長ら4人を、東京佐川急便に952億円の損害を与えたとし、特別背任容疑で逮捕。数千億単位の資金が非合法組織に流れたため、東京地検特捜部も闇献金や不正融資などの疑惑の追及を続けた。
その結果、金丸が東京佐川急便から5億円の政治献金 を受けていた事実が発覚。金丸信は政治資金規正法違反で略式起訴された。政治資金収支報告書への記載漏れを認めたため、略式起訴による罰金で済んだが、世論が猛反発し金丸は結局、議員辞職に追い込まれた。
5億円の政治献金をめぐり、経世会の小沢一郎は検察への徹底抗戦を主張したが、同じ経世会の梶山静六は早期の事態収拾を図ることを求めた。以前より関係が悪かった小沢と梶山の対立が決定的となり、経世会内部の亀裂も深刻化。梶山が自民党幹事長に就任する一方、非主流派に転落した小沢は羽田孜・渡部恒三と共に経世会を離脱して羽田派を旗揚げした。
運送大手の佐川急便グループの中核会社である東京佐川急便の旧経営陣が、指定暴力団稲川会系企業や医療機器販売会社平和堂グループなどに対し、総額約 5200億円にものぼる多額の融資や債務保証をし、その大半が回収不能となった。
東京地検は 1992年2月、渡辺広康元社長ら5人を特別背任罪で起訴し、渡辺元社長から県知事選資金を提供された前新潟県知事金子清ら3人を政治資金規正法違反罪で起訴した。
また、渡辺元社長から5億円のヤミ献金を受け取った前自民党副総裁「金丸信」は政治資金規正法違反罪で略式起訴され 20万円の罰金刑を受けた。
だが、金丸は1993年3月に所得税法違反罪で逮捕、起訴された。
竹下派の分裂、野党連合の細川内閣の成立と「小沢一郎」が暗躍した時代であった。
その裏には風に舞う札束があった。

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