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2007年夏、佐賀北高校--奇跡の甲子園

  • 執筆者の写真: 高下 豊光
    高下 豊光
  • 2021年10月26日
  • 読了時間: 4分

その攻撃巧者ぶりが存分に出たのが、今でも語り草になっている広島代表・広陵との決勝戦だった。

0-2で進んだ試合は7回表に2点を追加され、広陵が4点リード。後攻めの佐賀北は6回まで野村祐輔(現・広島東洋カープ)の前にわずか1安打。「手も足も出ない」といった状態だった。


この日の野村なら4点あればまず間違いない。誰もが「広陵の優勝」を確信していたはずだ。

広陵の横綱相撲に小さなほころびが出たのは7回裏のことだった。バックネット裏を中心にぽつぽつと手拍子が起こり始める。この回の佐賀北は3者凡退。しかし、8回表、佐賀北が1死2塁のピンチを乗り切ると、手拍子の波は徐々に大きくなっていた。

8回裏の佐賀北。ヒット2本と四球で一死満塁とすると、手拍子は最高潮に達した。この時のことを、広陵の捕手だった、小林誠司(現・巨人)は、「球場全体が、があああって、揺れるんです。ぐおおおって」と振り返る。

マウンド上の野村も球場の雰囲気の異変を感じ取っていた。 「声援で、グラッとくる。ベンチよりもグラウンドの方が揺れる。広陵のアルプス以外は、佐賀北の応援みたいな感じでしたからね」(野村) 動揺があったか、野村は佐賀北の2番・井出和馬に押し出しの四球を与え、スコアボードの待望の「1」が灯る。5球目の際どいコースを「ボール」と判定され、野村は目と口を大きく開いたまま、しばらく固まっていた。この後の気持ちの切り替えについて問われると、「切り替えられなかったですね」と答えている。


この日の審判は辛かった。それ自体は両ベンチともすでに了解済みだった。ただ、ある選手が「回によってストライクゾーンにばらつきがあった」と指摘するように、あの8回裏に、ストライクゾーンの高低が一層狭まったかのように見えたことも事実だった。

次の打者は、チーム内で「チャンスに弱い男」というレッテルを貼られていた副島浩史。カウントは1ボール1ストライク。野村のこの日125球目がど真ん中に吸い寄せられていったのは、あるいはストライクゾーンの揺れに戸惑った影響があったのかもしれない。

「打った瞬間は、ホームランだとは思わなかった。感触がなかったですからね。よくてもレフトを越えるくらいかな、って。だから一塁まで全力疾走でしたよ」と、副島は振り返る。

副島の打った打球は、満員のレフトスタンド前段に吸い込まれた。逆転満塁ホームランで5-4。佐賀北が試合をひっくり返したのだ。

甲子園を見ていると、信じられないような結末に終わる試合が、毎年ある。それが「奇跡」なのかは誰にもわからないが、たとえ奇跡だったとしても、そこに至る過程があり、高校野球の魅力はその過程にあることは間違いはない。

前年県大会初戦敗退の公立校が、強豪校を次々と破り、全国制覇を成し遂げたのはなぜか。あの逆転劇は、「ただの奇跡」ではなかった。

佐賀北と対戦した相手校は、広陵を含めて、不思議なことにみんな佐賀北のファンになっていた。

だからと云って、彼らが手を抜いたわけではなかった。

今はプロで活躍する広陵のバッテリー、広島の先発・野村も巨人の捕手・小林も悔しさに涙が止まらなかったのだ。

しかしながら、彼らは何故か佐賀北のファンになっていた。その秘密を解き明かしたい。

佐賀北高のナインは、相手を尊敬し受け入れることが自然にできたのだ。彼らは気がついていなかったが、塁上では、決まって相手選手を誉めていた。

ナイスバッティングと一塁手から声を掛けられる。二塁打を放って二塁に達すると、すごいですねと云われる。


何も彼らは、相手校の選手を褒め殺ししたわけではなかった。

嫌味を云ったわけでもなかった。誉めて戦意を失わせようと、監督が戦略を練った訳ではなかった。ただ、ストレートに称えようとしていただけである。

その素直すぎる気持ちが、自然に相手校を惹きつけ、応援させるような気持にさせていくのだ。最近になって、このメカニズムは、脳医学で注目され始めている。これを「ミラー細胞」という。

相手に思いやりの気持ちを向けると、相手もこちらの気持ちに同調=シンクロするのだ。

甲子園の原点は、学校教育にある。それを思い出させる話でもある。

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