観光地は殺人の舞台・吉永小百合主演「天国の駅」の憂鬱
- 高下 豊光
- 2020年9月10日
- 読了時間: 2分
吉永小百合主演「天国の駅」の憂鬱

栃木県那須塩原市、1961年(昭和36年)に発生した驚愕事件。
それが「塩原温泉日本閣殺人事件」であった。
1984年の東映「天国の駅」は、この事件をモデルにしている。
若き日の吉永小百合は、美しくかつ妖艶な雰囲気を醸し出している。
1970年に絞首刑に処された犯人「小林カウ」は、日本閣を手に入れるべく経営者夫婦を殺害。
彼女は、戦後初の女性死刑者となった。

日本閣経営夫婦失踪事件は、当時マスコミに大々的に取り上げられ世間の耳目を集めていた。
小林カウは、塩原で土産物店と食堂を営んでいた。彼女は、日本閣の経営者「生方鎌輔」に色仕掛けで迫り
関係を結び、すっかり手の内に入れるのだ。だが、鎌輔の妻「ウメ」が邪魔だった。
そこで、彼女は内縁の夫「大貫光吉」をそそのかす。1960年2月、「ウメ」の殺害を命令するのだ。
さらに、大晦日になって「鎌輔」も二人で殺害した。
こうして、日本閣に納まった「小林カウ」であったが、悪事は露見する。あえなく逮捕され、小菅刑務所にて小林カウと大貫光吉は、死刑に処されたのだ。
なお、大貫光吉も小林カウの肉体に溺れた男だった。
まことに、人の煩悩とは厄介なものだ。
その女の性(さが)を炙り出した映画「天国の駅」は、昭和35年から36年にかけて実際に起きた事件をモデルに、打算のない純粋愛を発見していく女の切実な葛藤を描いた作品だ。
二人の夫を殺し、凶悪犯として世間から毒婦の汚名を浴びた主人公を吉永小百合が演じた。
見逃した人には激しくおススメする。恋愛に悩んでいる人は、女の性(さが)を勉強しよう。
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