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涙に包まれた地裁法廷・京都認知症母親殺害事件

2007年ビッグ・コミック・スペリオールに連載された「キーチVS」

驚愕の元ネタが、地裁が涙にくれたという殺人事件の裁判であった。


事件は2006年京都で発生した。桂川の遊歩道だ。

事件当時54歳の息子は認知症の86歳の母親を介護していた。そのため収入がなくなり、生活ができなくなった。


息子は、母親に伝えるのだ。『母ちゃん、すまん、もう終わりにしよう--もう、あかん』

彼は、母を殺して自分も死ぬつもりだった。

『そうか--いっしょやで、お前といっしょや』と、母。


ところが、息子は絶命できなかった。

法廷では、息子の壮絶な介護生活が明らかにされた。

生活保護申請も許可されなかったのだ。

裁判では、『母の命を奪ってしまったが、もう一度、母の子に生まれたい』との供述が弁護士から紹介された。


法廷全体が、涙にくれた。生活保護制度の硬直した運用が問題にもされた。

裁判長は、言葉を詰まらせながら「執行猶予」を下したという。

裁判の正式名称は「京都認知症母親殺害心中未遂事件」であった。

この事件には、悲しむべき後日談がある。

息子が、この裁判の数年後に、琵琶湖に身投げしたのである。

知らせを聞いた当時の裁判長は、驚いて声も出なかったという。

 
 
 

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