東京五輪伝説のランナー「円谷幸吉」の悲劇
- 高下 豊光
- 2020年9月9日
- 読了時間: 2分
東京五輪"伝説のランナー"
マラソン銅メダル「円谷幸吉」の悲劇

「円谷幸吉」は、代々木競技場にどよめく大観衆に迎えられた。
ゴール直前で追い抜かれ、3着になってしまったが、男子陸上に銅メダルをもたらした。
銀メダルは逃したものの、日本の英雄となっていた。
彼は自衛隊所属の長距離選手だった。
だが、その後は故障に泣き、期待されるほどの成果は出せなかった。
しかも、上官から結婚も妨害され、破談という憂き目もみる。
オーバーワークがたたり腰椎のカリエスを再発する。もう長距離走など不可能となってしまった。
4年後はメキシコ五輪だった。その開催年の初めに、円谷幸吉は、自衛隊宿舎で頸動脈を切って自殺する。

国民の期待による重圧に苦しみ、思うように走れない身体に絶望したのだ。
こうして27歳の無念の生涯を閉じた。
事件後、円谷幸吉の遺書が公開された。
ここに、全文を載せておきたい。
父上様母上様 三日とろろ美味しうございました。
干し柿 もちも美味しうございました。
敏雄兄姉上様 おすし美味しうございました。
勝美兄姉上様 ブドウ酒 リンゴ美味しうございました。
巌兄姉上様 しそめし 南ばんづけ美味しうございました。
喜久造兄姉上様 ブドウ液 養命酒美味しうございました。又いつも洗濯ありがとうございました。
幸造兄姉上様 往復車に便乗さして戴き有難とうございました。モンゴいか美味しうございました。
正男兄姉上様お気を煩わして大変申し訳ありませんでした。
幸雄君、秀雄君、幹雄君、敏子ちゃん、ひで子ちゃん、
良介君、敬久君、みよ子ちゃん、ゆき江ちゃん、
光江ちゃん、彰君、芳幸君、恵子ちゃん、
幸栄君、裕ちゃん、キーちゃん、正嗣君、立派な人になってください。
父上様母上様 幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません。
何卒 お許し下さい。
気が休まる事なく御苦労、御心配をお掛け致し申し訳ありません。
幸吉は父母上様の側で暮しとうございました。
遺書は、当時存命の「川端康成」に絶賛された。
また、もの哀しい遺書は、国民の多くが涙したそうだ。
やがて、ドラマ化され、高い視聴率を記録している。。
Comments