最後の特攻機・カミカゼ敵艦(児玉邸)に命中
- 高下 豊光
- 2020年9月3日
- 読了時間: 2分
画像:前野光保が乗ったセスナと同型機

1976年3月23日朝10時頃、世田谷区の児玉誉士夫邸に小型セスナ機が激突する。
墜落事故かと思われたがそうではなかった。
右翼の大物・児玉誉士夫は、ロッキード事件で仲介料10億2千万円を受け取ったとされている。
この時に収賄罪で逮捕されたのが、田中角栄であった。
児玉誉士夫は、隣室で寝ており危うく難を逃れた。機体の残骸から発見された操縦士は、日活ロマンポルノ俳優の前野光保であった。
セスナ機の免許を持つ彼は、写真撮影のために2機に分かれて操縦していた。撮影を終えて調布飛行場へ戻る途中、前野の1機は、別ルートを飛行する。そのまま児玉邸に向かうのだ。
彼は、日活の衣装部から特攻隊の制服を持ち出して着込んでいた。そして「七生報告」と書いてある日の丸のハチマキを頭につけていた。
その6年前には、心酔する三島由紀夫が、市ヶ谷の自衛隊に乱入して割腹自殺を遂げていた。
友人には、児玉誉士夫は怪しからん奴だと話していた。
さらに1ヶ月前には、自殺未遂事件を起こしている。
再婚した米国人女性との離婚問題で悩み、新潟県のスキー場で服毒自殺を図ったのだ。
警察の事情聴取で、「シナリオを書くために死を体験する必要があった」と、答えている。
事件後の処理で、セスナ機の無線機が解析された。
前野光保は「天皇陛下万歳!」と激突直前に叫んでいた。
Comentarios