"排除"される若者-映画「タロウのバカ」の憂鬱
- 高下 豊光
- 2020年9月7日
- 読了時間: 2分
「タロウのバカ」
劇場公開日 2019年9月6日
配給:東京テアトル

軽快なタッチだが、深刻な問題をはらんでいる。
無戸籍の子どもが主人公だ。
タロウの母親は、育児を含め家事をいっさいしなかった。
彼は、戸籍どころか本名さえも持たなかった。
そのためか、学校にも行かずに悪友たちと遊びまわっていた。
タロウは、生きることや死ぬことの意味もわからないまま、刹那的に生きていた。
やがて、彼はヤクザから拳銃を奪う。その銃で母親を脅かし、あろうことかヤクザを殺してしまった。
そして、奪った銃は遊び仲間の人生をも狂わせていくのだ。
監督・脚本は、「さよなら渓谷」「日日是好日」の大森立嗣が手がけている。
刹那的に生きる3人の少年の過激な日常を描いた青春ドラマだ。
主人公タロウ役には、本作が俳優デビューとなるモデルのYOSHIを抜てきした。
そして、タロウと行動をともにするエージを菅田将暉、スギオを仲野太賀がそれぞれ演じる。

戸籍も持たず、一度も学校に通ったことのない少年「タロウ」には、エージとスギオという高校生の仲間がいる。
エージとスギオはそれぞれ悩みを抱えていたが、「タロウ」とつるんでいる時だけはなぜか心を解き放たれるのだった。
彼らは、その奔放な日々に自由を感じる3人だったが、偶然にも1丁の拳銃を手に入れてしまう。
やがて、それまで目を背けてきた過酷な現実に向き合うこととなるのだった。
居場所のない彼らは、無自覚のまま、より悪い状況に自分たちを追い込んでいくのだ。
いったい誰が責任を取るというのだろうか。
育児放棄の自堕落な母親?それとも社会の責任?
今も昔も排除される若者たちが存在する。
編集長の私は、数年前の「池袋通り魔殺傷事件」を思い出した。
重いテーマだが、激しくオススメする。
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