封印された「MISHIMA」---三島由紀夫への憂鬱
- 高下 豊光
- 2020年9月6日
- 読了時間: 2分
ジョージ・ルーカス&フランシス・コッポラの製作総指揮による作品だ。
「三島事件」から13年後の1983年6月16日。

帝国ホテルで「フランシス・F・コッポラ」と「ポール・シュレイダー」が日米合作映画を発表した。
その映画こそ封印された「MISHIMA」である。
三島が自決した、11月25日の起床時から死までを軸にして、少年時代や青春時代の回想シーン、
金閣寺などの小説の一部を描き、三島の人生と芸術を浮き彫りにしていく、という内容である。
自決事件だけを描くのならともかく、その大胆な構想に出席者は圧倒されたという。
キャスティングはすべてオーディションで決められたが、主役の三島役は難航した。
坂本龍一、永島敏行、小林薫、やまもと寛斎 等多くの俳優が候補に挙がったが、緒形拳に決定した。
だが三島由紀夫遺族の意向もあって、「MISHIMA」は日本未公開となる。 遺族の腰が引けたのは、三島少年時代の描写で、彼がオナニーに耽る場面であったと云われる。
さらに作品では、三島少年は、同性愛嗜好を告白し、家族を否定するような場面が挿入されているからであった。
おそらく遺族は、この作品が三島由紀夫の名誉・尊厳を著しく傷つけている、と考えたのだろう。
映画は、高い評価を受け、1985年カンヌ国際映画祭で「最優秀芸術貢献賞」を受賞している。
だが、作品は永遠にメディア化されることはないだろう。
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