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封印された「MISHIMA」---三島由紀夫への憂鬱

ジョージ・ルーカス&フランシス・コッポラの製作総指揮による作品だ。

「三島事件」から13年後の1983年6月16日。



帝国ホテルで「フランシス・F・コッポラ」と「ポール・シュレイダー」が日米合作映画を発表した。

その映画こそ封印された「MISHIMA」である。

三島が自決した、11月25日の起床時から死までを軸にして、少年時代や青春時代の回想シーン、

金閣寺などの小説の一部を描き、三島の人生と芸術を浮き彫りにしていく、という内容である。

自決事件だけを描くのならともかく、その大胆な構想に出席者は圧倒されたという。

キャスティングはすべてオーディションで決められたが、主役の三島役は難航した。

坂本龍一、永島敏行、小林薫、やまもと寛斎 等多くの俳優が候補に挙がったが、緒形拳に決定した。

だが三島由紀夫遺族の意向もあって、「MISHIMA」は日本未公開となる。 遺族の腰が引けたのは、三島少年時代の描写で、彼がオナニーに耽る場面であったと云われる。

さらに作品では、三島少年は、同性愛嗜好を告白し、家族を否定するような場面が挿入されているからであった。

おそらく遺族は、この作品が三島由紀夫の名誉・尊厳を著しく傷つけている、と考えたのだろう。

映画は、高い評価を受け、1985年カンヌ国際映画祭で「最優秀芸術貢献賞」を受賞している。

だが、作品は永遠にメディア化されることはないだろう。

 
 
 

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