太宰治研究ノート・「斜陽」に学ぶ、滅びゆく気品
- 高下 豊光
- 2020年9月9日
- 読了時間: 1分
太宰治「斜陽」読んだことがありますか。
没落した華族の女性を主人公にした作品だ。

発売当時『斜陽』はベストセラーとなる。
『おむすびが、どうしておいしいのだか、知っていますか。
あれはね、人間の指で
握りしめて作るからですよ』
この場面は、手でつまんで食べてしまった「お母さま」が言い訳をしたセリフだ。
無邪気な気品と優しさがあふれている。
その「お母さま」は、旧い時代の価値観を抱いたまま美しく没落する--
太宰治は、青森県津軽の大地主の家に生まれている。
父親は貴族院議員も務め、邸宅には30人の使用人がいたという。
勉強ができた彼は、小学校を首席で卒業する。
本作品は、敗戦後の没落貴族の家庭を舞台に、貴族の誇りを守る母、混迷した社会に対応できず自殺する弟、既成道徳を乗越えて生きようとする姉という三者三様の生き方を描いている。
戦後の日本社会の変遷する在り様が理解できる。
未来が信じられず、自分の人生に飽きてしまった人、そうキミだ。
悩む暇があれば、太宰治を読みなさい。
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