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古代史ドラマが、NHK衛星放送で再放送された

「臣、罪をしらず」蘇我入鹿の最後の言葉である。


NHK古代史ドラマは、「大化の改新」であった。

これは、奈良王朝が舞台であり、歴史で習った記憶があるだろう。

ドラマの中心となったのは蘇我氏本宗家であり、なかでも蘇我入鹿は朝廷をその手に収め、懸命に祀りごとに励んでいた。


だが、彼は悪人として後世まで汚名を着せられ、かなり損をしていると思う。

もちろん、聖徳太子の子であり、天皇の位に最も近かった皇子・山背大兄王を斑鳩の宮に攻めたて、自殺に追いやった所業が大きく影響している。しかも、卑怯なだまし討ちであった。

その理由が、蘇我入鹿の従兄弟にあたる「古人大兄皇子」の即位を容易にするためであったらしい。

山背大兄王は、自分が蘇我氏との戦いを続けることによって、多くの民が巻き添えになるという事態を防ぐために、家族揃って自害したのであった。

蘇我入鹿の専横は度を超え、子供たちを「王子」と呼ばせたり、天皇だけが開催できる「八侑の舞」を取り行っている。だが、中臣鎌足と中大兄皇子によって、蘇我入鹿は、暗殺される。この政変を「乙巳の変」と呼ぶ。

「日本書紀」に記された史実だけ見れば、蘇我入鹿は権力に取りつかれた悪人である。

しかし、唐からの留学僧に学び、朝廷の財政基盤拡充を進め、中央集権体制を整えようとしていた有能な執政者としての一面が見過ごされているように思う。

この「大化の改新」こそ、入鹿が目標にしていた政治に他ならなかった。

入鹿暗殺は、二人によって用意周到な準備が為されていた。

それは「三韓進調」の儀においてであった。陰謀にも気がつかず、蘇我入鹿は儀式に赴くのである。

入鹿は、その儀式で中大兄皇子の刃を受けた。想像すらしていなかった。

その言葉が「臣、罪をしらず」である。入鹿の父蘇我蝦夷は、屋敷に火を放って自害した。

ドラマでは、駆け寄った幼馴染の中臣鎌足に「これからは、おまえが、まつりごとを為せ」という感動的な台詞で泣かせる。

 
 
 

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