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原田美枝子主演「愛を乞う人」の衝撃と救い


幼い時に台湾人で優しい父親を病気で亡くし、その後実母から凄惨な虐待を受けた少女が17歳になったとき、惨めで壮絶な暮らしと母親を捨てて飛び出して生きていく。

一人二役をこなした名優「原田美枝子」の演技が話題になった作品でもある。

幼児虐待をめぐる怖ろしいまでの心の葛藤が描かれている。

演技派で知られた原田美枝子は、水商売で生計を立て荒んだ心で我が子を激しく虐待し続ける母親豊子と、虐待され続けた娘の照恵が平凡な主婦となった母親の二役を演じ、日本アカデミー賞で主演女優賞を受賞した。

陳文雄は雨の降りしきる中、幼い照恵を連れて妻豊子の元を離れる。


しかし、この時の文雄は肺結核を患い余命いくばくもない状態であった。

豊子は去っていく文雄に罵声を浴びせながらも、一人残されていく不安に絶望と落胆で号泣する。

やがて、文雄は結核が悪化し入院する。病床の父に照恵は『アッパー(父親)』と書いた父の似顔絵を渡す。

文雄は照恵の頬を優しく撫でながら手鏡で光を作り天井を照らし、台湾島を模して言うのだ。

「アッパーの故郷は台湾の真ん中あたり“沙鹿(そあら)”というところでサトウキビ畑が広がるところ」と、教えて春になったら一緒に行こうと言い残して亡くなる。

時が経ち照恵は夫を亡くし、17歳くらいの娘と二人暮らしをしていた。照恵は幼い頃に亡くした父親の遺骨を探していたのだ。

幼かった頃の記憶を辿り、父親の入院していた病院をつき止め当時のことを訊ねるのだが、火災で手掛かりとなる資料は焼失していた。

そんな時に照恵の職場に1本の電話が入り、30数年前に生き別れた弟が詐欺で逮捕拘留されたと連絡が入る。

気の重くなる主題だが、気合を入れて観て欲しい。

悩んでいるのは、なにも自分だけではない。見逃した人には激しくおススメ。

 
 
 

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