ロシアン・スパイ「ゾルゲ」の真実
- 高下 豊光
- 2020年9月13日
- 読了時間: 2分
2003年製作/日本 配給:東宝
監督:篠田正浩
主演:イアン・グレン
共演:本木雅弘

太平洋戦争直前、昭和初期の日本を舞台に、ロシア人のスパイ、リヒャルト・ゾルゲの姿を通して、激動する時代を描いた歴史サスペンス大作。
「梟の城」「写楽」の巨匠・篠田正浩監督が手がけ、今作が引退作となった。
ゾルゲ役は「トゥームレイダー」などハリウッドでも活躍するイギリスの俳優イアン・グレン。共演に「シコふんじゃった。」の本木雅弘ら。
1930年代、朝日新聞社の記者・尾崎秀実は、赴任先の上海でドイツの新聞記者というリヒャルト・ゾルゲと出会う。
やがて日本のドイツ大使館に出入りするようになったゾルゲだったが、その正体はソ連が送りだした諜報員だった。日本で再会した尾崎らを協力者にしたゾルゲは、日本とドイツ両国の情報をモスクワに送り続けていたが---
スケールが小さいところや事件のシーン、上海で共産党員の少女がリンチされるシーンの演技の粗末さなどなど、突っ込みどころ満載だ。
衣服や自動車に時代設定の再現の粗悪さが見られるところも気になる。
篠田正浩が最終作と銘打って、満州事変からベルリンの壁崩壊までを雑ながらも描いてしまう、その貪欲ぷりに脱帽する。
また、最後の最後でビートルズの「イマジン」を使うあたり、篠田正浩は左翼思想に傾倒していたのだと改めて思うのだ。
この映画を監督の遺言と考えると、とても穏やかな気分で観ていられる。
映画の一つの役割は、隠された事実を白日に引っ張りだすことにあるのだろう。
現代史を知りたい人には、特におススメ。
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