自転車考現学 その14
- とよっチ
- 2020年9月3日
- 読了時間: 3分
ロードバイクの価格帯は、3万円ほどで買えるいわゆる「ルック車」から100万円以上もする「ツール・ド・フランス」でトップライダーに使用されているバイクまで、かなり幅が広い。これら価格の差はフレーム素材やコンポーネント(変速ギアやブレーキなどのパーツ類)のグレードによって変わってくる。一概に言えないところもあるが、比較的手ごろなモデルはアルミや鉄製のフレームがメインで、ハイスペックなモデルになればなるほど、フレームに軽量なカーボン、チタンなどを採用しているのが一般的だ。加えて、ペダルを踏んだパワーをロスなく推進力に変え、高い振動吸収性を発揮したり、乗り心地を快適にするパーツが装備されているのも上位機に多い。

このように快適な走行性や操作性を求めるなら、グレードの高いコンポーネントなどを搭載したモデルのほうが優位なのは間違いない。だが、最上位クラスのロードバイクは、ツール・ド・フランスなどのトップレースで使用されているモデルであり、自動車でいえばF1のマシンにたとえられるような位置づけなため、初心者がその性能を使いきれないこともある。まずは、手ごろなエントリーモデルから始めてみると費用的にもムダがない。とはいえ、エントリーモデルでもロードバイクは普通の自転車に比べると高価。10万円前後以下で買えるモデルもあるが、安心して長く乗り続けることを考えると、10万円前後というのがひとつの価格の目やすとなる。
なお、この特集で紹介するロードバイクのフレームは、ほとんどがアルミ製。今はカーボン素材が全盛の時代なので、アルミ素材は1世代前の素材だが、ここ数年、各社がアルミフレームの開発に力を入れており、アルミの加工技術も進化しているため、アルミフレームでも乗り心地がよいモデルは増えている。ただし、変速のギア段数はトップモデルに比べると少ない。
たとえば、シマノ製のコンポーネントの場合、最高グレードの「デュラエース」ではリア11段だが、10万円クラスに採用されていることの多い「ソラ」は9段。リアディレイラー単体の価格もデュラエースのリア変速機が約18,000円なのに対し、ソラは約3,500円と大きく差がある。段数の違いだけではなく、レバーを操作した時の軽さ、スムーズさ、耐久性にもかなり違いはあるが、本格的なレースに出場する予定がないなら10万円前後のモデルでも十分だろう。
ロードバイクを購入するうえで、もっとも大切なことはサイズ選びだ。どれほど高級な自転車を買っても、自分の身体のサイズに合っていないと自転車の性能を生かせないだけではなく、肩や首、お尻が痛くなり、思うように走行できないことも。初心者が自分の自転車のサイズを知ることは難しいので、1度は自転車ショップでアドバイスを受けるほうがいいだろう。
その際に「速さを求めたい」「できるだけ長時間乗りたい」「乗り心地のよい快適性が高いものがいい」というように、自身のリクエストを伝えておくと、サイズだけでなく、使用目的に合った自転車を紹介してもらえる。基本的にロードバイクは「速く遠くまで走るもの」ではあるが、その中にも「スピード重視」「快適性重視」「軽さ重視」などの特性があり、これらはフレームの設計段階から決められているものなので、自転車を選ぶ際に自分の乗りたいスタイルは決めておいたほうがいいだろう。
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