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広島訪問・マザーテレサの祈り

慈愛に満ちた目と温かい手—。23日、被爆地ヒロシマを初めて訪れたマザー・テレサ(74)は、被爆者を励まし、子供たちに祝福を投げかけた。飢えや貧困を救うために一生をささげたその信念と行動をヒロシマでもそのまま実践した。


この日午後、広島市中区舟入幸町の広島原爆養護ホーム舟入むつみ園(志水清所長、240人)を訪れたテレサさんの表情は、絶やさぬ笑みに深い慈愛のまなざしが加わった。


5階大広間に集まった被爆者を前にゆっくりと語りかける。

「神がみなさんを愛してくれています。みなさんも私と一緒に祈りましょう」。


ホーム訪問の前に立ち寄った原爆資料館で目の当たりにした原爆の惨禍をくぐり抜けて老いを深める被爆者たちの姿に、何度も胸の前で手を合わせた。

寝たきりの被爆者の多い1階病室の約50人には、一人一人のベッドに近寄って、激励。小柄な体のわりに大きく柔らかな手で、被爆者たちの手を包み込むように握る。寝たきりの人には額に手を当て、ほおをさすり、「神の祝福がありますように」と、言葉をかけた。


同ホームの志水所長は「みんな同じように握手してくれて。まさしく愛と命の尊さを教えるのにふさわしい行動の人だ」と見送った。

原爆資料館では、「何の言葉もありません」「信じられない」を繰り返し、ショックを隠し切れない様子。「同じような核兵器が造られているから、同じような惨禍が再び起こることが心配です」と言いながら、周囲にいた人たちに「祈り」を求め、被爆死者の霊と平和のために一緒に手を合わせた。

わずか6時間余りの滞在だったが、終始、慈愛に満ちた心でヒロシマと接したテレサさん。平和記念公園を去る間際、こう言い残した。「私は、これから苦しむ人に接すると、より深い愛を注ぐようになるでしょう」と。


引用:1984年11月24日朝刊より。

 
 
 

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