名作!少年と自転車の衝撃
- とよっチ
- 2020年9月8日
- 読了時間: 2分
「ロゼッタ」「ある子供」のジャン=ピーエル&リュック・ダルデンヌ兄弟が、2011年・第64回カンヌ国際映画祭でグランプリ(審査員特別賞)を受賞したヒューマンドラマ。

『少年と自転車』は2011年のベルギー・フランス・イタリア合作のドラマ映画。監督のダルデンヌ兄弟が2003年に日本で開催された少年犯罪のシンポジウムで耳にした育児放棄の実話から着想を得た作品である。
2011年製作/ベルギー・フランス・イタリア合作 原題:Le Gamin au velo 配給:ビターズ・エンド
本作の父親は、実の子であるシリルに、しかも慕って近づいて来るシリルに、信じがたい言葉を浴びせます。
ここまでやられると、これは一種の「病気」ではないかと思います。
確かに子供は時に「重荷」…これは、よく分かりますよ。時間もお金もすべて子供に取られます。育て上げねばならない「重責」も相当なものです。仕事がうまくいかなかった日の夜なんかは、まともに子供の顔が見られません。
子育てとは、過酷なものです。それは、よく分かります。
苦難の端にわずかに光る「幸福感」もまた、かかけがえのないものです。自分の子供の可愛さは、どんなに子供嫌いであっても余りあるものです。
それが…、世の中には、それが完全に欠落した人がいる。
たとえ生活が苦しくたって、実の子を見殺しにするのは狂気の沙汰です。
しかも、『パパ、パパ』と探し求めてくる実の子供を追い返すようなマネは…、ちょっと尋常の心理ではないと思うのだ。
明らかに追い返そうとしている父親に、食い下がるシリルが可哀そうで見ていられない。
『電話してもいい? ダメなら電話してよ。ボクの…、電話番号をメモしてくれない…?』
サマンサは、苦しみの果てに自傷に走るシリルを抱きしめ、しっかりと受け止めます。
シリルは非常にわがままでもありますが、父親に見捨てられるという状況ですから、やさぐれるのは当然です。
普通、実の子でもない子どものわがままを、他人がそうそう聞き入れられるものではありません。ましてや、今後ずっと面倒を見ていくなど、簡単にはできない。
育児放棄という深刻な作品に、この自転車は効果的に演出されている。
見逃した人には激しくおススメ。
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